僕がサブノーティカに夢中になれた25の理由




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"オーロラ号は予定通りPlanet4546Bに到着した。しかし謎の爆発により船は墜落。エンジニアのラリーは脱出ポッドで辛くも脱出するが、辺り一面は大海原。彼は途方に暮れるのであった。"

PS4のアドベンチャーゲーム。開発はUnknown Worlds Entertainment。


・海中という世界観が面白い

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海がマップの中に存在するゲームはたくさんあるけど、それをメインにしているものって意外とないよね。このゲームは世界の9割5分が海。マップはもちろんオープンワールド。
海なので当然横軸だけでなく縦軸にも動けるので、自由度が高く、シームレスマップとの相性は良い。


・酸素という制約がある中で探索しなければならない

オープンワールドは自由すぎる故にダラダラとプレイしがち。
しかしこのゲームは酸素が尽きるまでの数十秒〜数分という制限の中で行動する必要があるので、「あのアイテムを探そう」「効率的に探索しよう」と明確に意識しながら動くことができる。


・拠点の有り難みを強く感じられる

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とにかくすぐに酸素が無くなるので空気を補充できる拠点の存在感が大きい。
拠点とは自分の家であり、活動する、休む、というサイクルを自然に繰り返すことになるので生活感がある。すなわちそれはこの世界にいるんだという臨場感を作っていた。


・世界観に溶け込んでいるUI

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インターフェースがゲームの中のガジェットと結び付いているのでリアル感がある。
手持ちのアイテムだったり、集めたアーカイブスだったり、主人公が持っている高性能タブレットから確認することができるので、主人公の目で見た情報をそのままプレイヤーが受け取っているような臨場感があった。


・死んだ時のペナルティが絶妙

死ぬと手持ちのアイテムを殆ど落とす。ただしクラフトしたアイテムはそのまま。
簡単には死にたくないが、たとえ死んだとしても気落ちするほどのデメリットは無いのでまた頑張ろうと思える。上手いバランスの取り方だと思った。


・クラフトが楽しい

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制作できるアイテムがとにかく実用的。設計図を見つけ、素材を集め、徐々に探索範囲を広げていくというのがこのゲームの基本的な流れ。
次から次へと今までのストレスを払拭する衝撃的なアイテムを作成できるのが楽しすぎる。
素材を入れるだけで3Dプリンターが自動でアイテムを作ってくれるのも未来感があって良い。


・救世主その1 大型酸素ボンベ

最初は30秒くらいしか酸素の余裕が無いので思うように探索が進まない。
酸素はこのゲームにおけるエンジンであり、頭から離れる暇が無いほど意識させられる。
それだけにボンベを拡大して酸素の許容量を増やせた時の感動は大きかった。


・オーロラ号の探索

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海中には主人公が乗り込んでいたオーロラ号の残骸が散らばっていて、その中を探索することができる。
大抵の場合、設計図や有用なアイテムが眠っているので脱出への足掛かりとなる。
何をすれば良いのか全く教えてくれないゲームだが、これの存在が探索の目印になっている。


・島もある

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マップの9割は海。でも上陸できる場所もある。てっきり海ばかりの惑星だと思っていたので、初めて島を見つけた時はかなり驚いた。
同じ事の繰り返しが続くゲームだから何回か途中で飽きかけたけど、その度にこういう大きな出来事が起こるから好奇心が蘇り引き戻される。


・さり気ない誘導

チュートリアルも無いし、何をすれば良いかも教えてくれない。
でも定期的に救難信号が届いたりして目的を作ってくれる。そこに行くと上手い具合に現状を打開する設計図があったりして、行き詰まった状況を一変させてくれる。
間違いなく製作者側が誘導しているのだが、そうしたお節介が自然にゲームの中に溶け込んでいるので、プレイヤーは自分の手で道を切り開いているという達成感に疑問を抱くことはない。このゲームバランスが絶妙だった。


・救世主その2 シーグライド

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酸素による行動制限。大型肉食生物のプレッシャー。
障害は色々あるが、浮力という要素がプレイヤーには常に付き纏う。モッサリとしか動けないため、酸素との競争は逼迫するし、肉食生物の牙から逃げることも困難。結果、行動範囲を中々広げることができない・・・
そんな状況に革命を起こしてくれたのがシーグライド。電動式の小型移動補佐機。スクリューの力で主人公を引っ張ってくれる。
これにより移動のスピードが大幅に向上し、酸素や肉食生物の問題が改善された。
ストレスからの劇的な解放。これがこのゲームの大きな魅力。


・異星人もいる

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惑星には高度な技術が施された遺跡が多数あり、その裏には知的生命体の影がある。そしてこの設定はストーリーと密接に結び付いている。
ただ惑星から生きて脱出するというだけではない、想像力を膨らませてくれるミステリアスな世界観が広がっていた。


・流れがある

ストーリーは無きに等しいが、ゴールまでの流れはある。
通信機を修復すると信号を発信することができ、数日後に救難船が助けに来るのだが・・・
絶望感を更に強める良い演出だったね。


・救世主その3 シーモス

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シーグライドにより移動スピードは上がるが、酸素の問題もあって探索できる範囲には限界があった。
そんな状況に終止符を打ってくれたのが小型潜水機シーモス。スピードはシーグライドと大差ないし、防御力も期待できない。
この乗り物の真価は、稼働している限り酸素を保証してくれること。シーモスによって、ついに酸素を気にすることなく探索できるようになった。
近寄る生物を追い払う電磁パルスや素材を詰め込めるストレージの追加、潜水距離を拡大する強化など、カスタマイズも幅広い。
破壊されるとカスタマイズも含めてまた一から作り直しなのは辛いが、それは仕方ない。


・拠点の発展が楽しい。そして分かりやすい

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クラフトゲーの魅力は街づくりにあるが、このゲームも施設を作って拠点を拡充させることができる。そしてこれが他のゲームに比べて凄く分かりやすいし、お手軽。
大抵のクラフトゲームは壁やブロックをたくさん組み合わせて建物を作るが、このゲームは素材さえ用意すればガジェットが勝手に施設を作ってくれる。
あらかじめ用意された施設しか作れないので自由度は低いが、マインクラフトみたいな自由すぎる物づくりが俺は苦手なので、個人的にはちょうど良い塩梅だった。
カスタマイズ性が低いとは言え、足場やパイプを組み合わせることで色んな構造の拠点を作ることができるし、個性や機能性を追求する余地は充分ある。


・救世主その4 サイクロプス

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そろそろ拠点を引越しするかー、と準備し始めるも、ふと思った。今まで溜め込んだ素材やアイテムはどうすんの?と。
主人公やシーモスが持ち運べる許容量は少ない。しかし拠点のストレージには俺が溜め込んだ貴重な資源が大量に眠っている。これを全部移動させるためには夥しい回数の往復を強いられることになるわけで、それだけで引越しが躊躇われた。
そんな俺に天からの贈り物が。その名も、大型潜水艦サイクロプス。
初めは小回りも効かないし、図体の割に敵からの攻撃には脆いし、バッテリーは食いまくるし、探索には明らかに不向きで用途がイマイチ分からなかったが、潜水艦の中に大量のストレージを装着することで膨大なアイテムを収納することが可能で、拠点の引越しに大きく役立ってくれた。


・海の生物が怖い

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海の中はとても静かだが、たまに唸り声が響く。それが背筋が凍り付くほど怖い。
轟の刹那、振り返ったら巨大なリヴァイアサンの顔が目の前に迫っていた光景が頭から離れない。


・海の生物は飽きっぽい

リヴァイアサンなどの大型肉食生物から小型のサメ、巨大なクラーケン、更にはワープするエイリアンなど、様々な生物が邪魔をしてくるが、しつこく迫って来ないので回避を続けていればいずれ飽きて追って来なくなる。
また、倒したところで特に何か素材を落とすわけでもない。
アクション性が低いだけに、このゲームにおいて生物との戦いはリソースを消費するだけで面倒くさい。無理して倒さなくて良いよという緩いゲームバランスは良い配慮だった。


・美しい難易度曲線

ゲームバランスの盛り上げ方も上手い。序盤は好奇心の赴くままに遊んでいるだけでテンポ良く新しい展開が起こるが、中盤からは目的を持ってプレイしないと堂々巡りになり、そして最後は困難の連続。
オープンワールドのゲームはダラダラと遊んでいるだけでクリアーできることも多いが、サブノーティカはこの世界での経験をしっかり反映させないと攻略できないようになっている。


・チュートリアルも兼ねた充実のアーカイブス

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チュートリアルは全く無いしアイテムの説明も殆どしてくれないが、資料を見付けたりスキャナーで生物や資源を解析することでアーカイブスが蓄積され、基本的な使い方から奥深い解説まで詳しい説明を見ることができる。
アーカイブスを見ていると思わぬヒントがたくさん隠れているのでとりあえず行き詰まったらこれを探るのがオススメ。
このゲームのコンセプトは、如何にして「プレイヤーに自分の手で攻略していると実感させるか」というところにあるが、このアーカイブスはそれを上手く演出している。


・救世主その5 プローンスーツ

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パワードスーツ。非常に耐久力があり、高温や毒などのあらゆる外敵をシャットアウトできるため、探索には必須。
必殺のパンチが見た目はショボすぎて笑えるが、リヴァイアサンすら追い払うとてつもない威力を持つ。これが無ければクリアーはできなかった。


・いつでもセーブ可能で柔軟にリスタートできる

常にセーブができるので、例えばゲームオーバーしたとしてもセーブデータからロードし直せばペナルティ無しでやり直せる。
下見の探索だけして帰りはリスタートという方法も可能。
このゲームの趣旨とは外れるやり方ではあるけど、終盤はかなり面倒くさいのでセーブ&リスタートを多用した。有り難い仕様だった。


・ボリュームがある

俺はクリアーまで50時間かかった。要領が良くても30時間は費やすはず。
未知の卵を孵化させるという遊び方や、現実と同じように死んだら終わりのハードコアモードもあるので、やり込みもできる。


・安い

これだけ面白くて、これだけボリュームがあるのに4000円足らずでパッケージを買える。


・リアルだから、大きく伝わる

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派手なストーリーや演出は存在しない。魅力的な悪役や仲間がいるわけでもない。でも、このゲームにはドラマがある。頭から離れない印象的なシーンがある。
徹底したプレイヤー主観と、脚色を感じさせないゲーム進行は、プレイヤーにリアル感を与え、出来事を等身大の形で伝えてくれる。
恐怖のリヴァイアサン、スキャナールームの最先端感、あまりにも巨大なサイクロプス、無敵のプローンスーツ、そして最後のカタルシス。
いずれも印象に残る出来事だったが、リアリティがあるから、より強いインパクトで物事が伝わってきた。
決められた演出をなぞるのではなく、自分自身の体験がシーンとなる。誇張も虚飾もないありのままの世界を、自分の生の体験が彩る。
本当にその世界に入り込んだような感動があった。


以下、気になる点も。
・パフォーマンスに難あり。ポップアップやラグが頻発する。
・多分PCの操作性をそのまま持ってきたからだと思うけど装備のインターフェースが酷すぎる。
・消火器の放射範囲が狭い。炎に当たりながら消火する羽目になる。
・設計図のリストを確認するときに必要素材の欄を消せないので見辛い。
・終盤は少ないヒントの中で特定のアイテム探しを求められるので面倒くさい。


サブノーティカの真髄は、リアリティと脚色のバランスにある。
説明もせず、何も与えず、プレイヤーを突き放して「自分自身の手で生き抜いてね」と無茶振りしているが、放任されているように見えて実はその裏で徹底的な調整が施されている。
目的を見失わないようにさり気無く誘導したり、リアリティによる疲弊を抑えるために分かりやすさとシンプルな作りを重視していたり、常に興味を持ち続けられるよう随所で大きな展開を作ったり。しかしそれは決してあざとく目立つことはなく、あくまでもさり気無くユーザーをゴールまで導いている。
このゲームにはプレイヤーに真剣なサバイバルをさせるという強固なエゴがあるが、それをただ押し付けることはせず、プレイヤーが諦めないように、理解して貰えるように、受け入れてくれるように、調整に調整を重ねて自分たちのやりたい事が伝わるよう努力している。
しかもその調整は世界観を壊すことなく、ゲームの中のリアリティとして調和している。
見事としか言いようが無い。俺はこの手のゲームは嫌いじゃないけど最後まで遊べるほど熱中することは無かったが、サブノーティカは最後まで熱を持続したまま遊び終えることができた。本当に面白かった。

前の記事でも書いたけど、もう俺が楽しめるゲームの形は凝り固まってしまったかと思ったが、サブノーティカは俺の中の常識を超えた。
まだまだ俺にはゲームに対する好奇心があるんだと教えてくれた。
こういう出会いがあるから、新作を買うのはやめられない。