絆日記。ネタバレ注意




・生

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サムは生きていた。
厳密に言うと爆発に巻き込まれて紛れもなく死んだのだが、彼は死んでもこの世に戻ることが出来るのだ。それがDOOMSとしての彼の能力。
へー、つまり不死身ってことか。死んでも死んでも諦めない限り何かを成し遂げられるという意味ではゲームと同じだね。不死という設定はゲームとマッチしてる。

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サムが目覚めると、目の前に小太りのおっさんがいる。何故かギレルモデルトロに似てる。
デッドマンと謎の異名を名乗るその男は色々と教えてくれた。先の爆発でセントラルノットシティは壊滅したこと。あの地域にいた人間で助かったのはサムと彼に繋がっていたベイビーだけということ。
死体がネクローシス化するだけでこんなリスクがあるの?この世界やばくね?そりゃ岩だらけにもなるわな。
目覚めたばかりのサムだが、さっそく隔離病棟にいる大統領にモルヒネを届けてくれという割と大きな仕事を任される。まだ大統領なんてシステムあったんだね。末期癌で死にかけてるらしいけど。
なぜ俺が届けるんだ?と聞くサム。
自分はここには居ないからだよーん、と言ってサムの身体を通り抜けるデッドマン。なんだホログラムだったのか。FF10のエンディングでもこんなシーン見た。
実は自分は隔離病棟に居るというデッドマンに対し、尚更何で俺が行く必要があるんだと食い下がるサム。ごもっともだな。病棟なんだからモルヒネくらいあるだろうし、すぐ近くにいるデッドマンが渡せば良いはず。
観念したようにデッドマンは言う。
「大統領が、あんたに会いたがっているんだ」
サムは黙って、モルヒネのケースを閉めた。

目的は決まった。隔離病棟へのモルヒネ運び。
到着。特に何も起きなかった。すぐ近くだし。
分厚いシャッターを抜け、エレベーターで地下深くに降りて行く。こんな世界だが、さすが大統領なだけあって厳重に隔離されてるんだな。

隔離病棟内に到着し、ホログラムではない生肉のデッドマンに会う。ほらよ、これが依頼のモルヒネだ。納めやがれ。

「ありがとう。これで彼女も少しは楽になるだろう。合衆国最初で最後の女性大統領。ブリジット・ストランド。あんたの育ての親がこの先で待っている」
ん?育ての親?サムの?

大統領が療養している部屋に通される。
日の光が差し込む大きな窓に、それを区切る厚手のカーテン。アメリカと国際連合の旗も飾ってある。大統領執務室のイメージがそのまま再現されていた。ここだけはまだ、在りし日のアメリカのようだ。
しかしその部屋の真ん中で、大統領は大量の生命維持装置を付けて何とか生きている状態。アメリカの理想と現実がこの部屋の中に詰まっている。なんか切ないね。

サムが来ました、とデッドマンが大統領に呼びかける。彼女は呼吸装置を外そうとするが、中々上手くいかない。見かねたデッドマンが手伝い、ようやく話せる状態になる。

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「サム、久しぶり。よく来てくれたわね。元気だった?」

あー、サムが持ってた写真の中にいた人か。病気でやつれ果てて面影はあまりないけど。お義母さんって言ってるし、義理の親っぽいね。

「アメリが3年かけて西に到達したの。アメリカを再建するために」

アメリ、という言葉にサムが反応する。誰っすかそのアメリカに対する未練そのままのややこしい名前を付けられた人は。

「世界を繋がなければ人類は滅びてしまう。アメリカを再建するの。アメリを助けて」

アメリカなんてもう誰にも必要とされてない。あんただってもう大統領じゃないんだ、と辛辣に言い放つサム。中々厳しいな。この人とはあんまり良い思い出が無さそう。
最後の力を振り絞って彼女はサムに寄りかかる。しかし体制が崩れてベッドから転がり落ちてしまう。
お願い。お願い。と言いながらブリジットは這いつくばり寄ってくる。なんか怖い。サムは思わず後退り。

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サムは受け入れようとしないが、彼の手元に落ちていた写真がブリジットの目に入った。そこにはサムと、お腹が膨らんだ女性と、ブリジットが写っていた。


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「ありがとう、サム」

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大統領が死んだ。部屋のカーテンや国旗なども消えていく。どうやらこの外観もホログラムだったようだ。在りし日のアメリカは完全に無くなった。

大統領は死んだが、アメリカ再建という希望を受け継ぐ者はいる。
その主軸として、サムにアメリカ再建の依頼が要請された。
また俺をブリジットがしたみたいに縛るのか、とサムは依頼を拒否する。あくまで彼はアメリカ再建に否定的だ。
それよりもまずは出来上がってしまった死体をどうにかしなければならない。当然ネクローシスのリスクがあるわけで、焼却処理する必要がある。
一体誰が?僕はやだよという顔をするサムだが、当然のように死体焼却の役目はサムに押し付けられるのであった。

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サムは死体袋に詰められた大統領を背負い、岩道を越えて焼却場を目指す。

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時には川が立ちはだかったり、崖が立ちはだかったりするが、誰かが残してくれた梯子やロープを使ってそれを乗り越えて行く。

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って、この梯子とロープ、使用者の履歴が確認出来るんだけど、残してくれたの死体処理班のイゴールさんじゃないですか!まさかこんな所で縁が繋がって来るとは。もう死んでしまったけど、彼がこの世にいた証はこうして残っている。いいね!を送っておこう。
イゴールの力も借りて、ようやく焼却場に到着。義理の母と見納めすることになる。彼女は煙となって消えた。
なんか、凄く良い旅路だった。育ての親の重みを感じながら険しい道を乗り越え、大切な人とのお別れを果たす。このゲームの世界の情緒、死ぬ事の意味や生きる者の責任、そしてサムの微妙な感情がゲーム体験を通していっぺんに伝わって来る、とても良い演出だった。
ムービーは確かに多いけど、デスストランディングは紛れもなくゲームという媒体だからこそ出来るストーリー体験がある。しかも非常に高いレベルでそれを見せてくれる。素晴らしい。

ブリジットの最期を見届けるとまもなく、雨が降り始めた。逆さの虹か。やれやれ、またあいつらが来るよ。
帰還する前に、もう一つの荷物も焼却しろと言われる。荷を解くと、そこにはブリッツベイビー、通称BBのポッドがあった。中のベイビーはまだ生きている。イゴールが使っていたものだ。
それを不良品だから処分しろと言う。え、そんなのあんまりじゃね?勝手に利用して、使えなくなったら処分する。血も涙もねーなー。まぁでもそういう運命なのかな。
しかしその間にも焼却場の周りには大量のBTが発生。BTは透明な存在だが、BBにはそれを感知する能力がある。つべこべ言ってられない。こいつに頼るしかない。サムはBBを自分と接続した。

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BBに接続したことで、レーダーを使うとBTが視認できるようになった。
なんかツブツブの奴がいるな。こいつがBTの正体か。うわ、めっちゃいるやん。しかもこいつら動かないし。ステルスゲームで一番面倒なのは敵が動かない事なんだよな。
BTは生きた者の反応に対して敏感なので、呼吸を止めながら歩くと見つかりにくくなる。
と、チュートリアルにあったので実践したが、普通に見つかる。なんか黒いものが纏わりついてきた。うわやめてよ。ボタンを連打して振り払う。何とかなった。何とかなるんかい。
これ黒いものに捕まったらどうなるんだろうと気になったので、試しに抵抗せずにいる。
すると、何かに捕まれて凄まじいスピードで引きずり込まれた。その先の沼から巨大なイルカのような生物が発生。襲いかかってくる。頑張って逃げる。何とかなった。何とかなるんかい。
次第に雨が上がり、BTの気配も消えた。いまいちステルスの要領が掴めなかったけど、ボタンを連打してれば何とかなりそうですね。


・絆

帰還を果たしたサムは、プライベートルームで休息を取ることに。いつのまにか眠りにつき、夢を見ていた。
誰かが泣いている。子供がビーチで跪き、顔を抱えて泣いていた。

「そろそろ帰る時間よ、サム」

赤いコートを着た女が小さいサムの前に現れる。彼女は持っていた首飾りを彼の首にかけた。

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「これはドリームキャッチャーよ。眠れない時に付けて。私が悪夢から守ってあげる。私とあなたはいつも繋がっている。」

サムは目を覚ます。今まで気にしてなかったけど、首からあの首飾りを下げてるな。大切なものということだろう。

連絡が入り、サムに合わせたい人物がいるという。また大統領室に来いと言われる。
そこに居たのは、夢で見たあの女だった。名前はアメリ。アメリカの新大統領である。

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「母は逝ってしまった。でも私がいる。アメリカの再建を必ず果たす」

孤立した都市を繋ぎ、新たなアメリカ都市連合を作ると宣言。
その協力をして欲しいとサムに頼んでくるが、サムは乗り気でない。俺はあんた達とはもう繋がっていない、ブリジットとも別れを済ませたと突き放す。

「あなたを忘れたことはない。繋がりを切ったのはあなたの方よ。」 

具体的な計画が話される。アメリは3年かけて大陸の横断に成功しており、孤立した都市を巡って装置を設置。
その装置には要するにインフラやネットワークなどの機能が詰め込まれており、それを起動することで今は点となっている各都市が線で繋がり、全てが結ばれた時、大陸はアメリカという国として再び蘇る、という寸法らしい。
しかしアメリは西のゴール地点で独立過激派の組織に捕まってしまった。装置を機能させるためにはキューピッドと呼ばれる鍵が必要であり、それを届ける仕事、及びアメリの奪還をサムにして欲しいとのこと。
それを聞いてもサムは頑なだ。俺はブリッジズから放り出された。もう誰とも繋がるつもりはない、と言って去ろうとする。

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「待って!」とアメリは立ちはだかるが、ホログラムの彼女をサムは突き抜ける。
俺たちは繋がってないんだ、今も昔も、と言い捨て、部屋を去る。

その夜、サムは夢を見る。
浜辺に寝転がっていて、起き上がると目の前にアメリがいた。
彼女は後ろに回ってサムの首飾りを外し、それを右手に握らせた。

「私は今、西海岸で途方にくれている。でも、私とあなたとの絆は今も繋がったまま。あなたは自由よ。だけど繋がってる。それを否定しないで」

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アメリはサムを抱きしめる。

「戻ってきて、サム。あなたを待っている」

サムは目を覚ました。右手で首飾りを強く握り締めている。
サムはアメリカ再建の協力をすることにした。国の為ではなく、アメリのために。


続く。かも。