スパイダーマンになれる!




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PS4のアクションゲーム。開発はインソムニアック。

映像が凄い。演出が凄い。アクションが凄い。
もはや映画とゲームの境界は些細なもの。このゲームは、映画で見たあのスパイダーマンのアクションをプレイヤー自身の手で操作し、体験することができる。スパイダーマンに成り切る、という意味でのクオリティは凄まじいとしか言いようがない。

そして、スパイダーマンはゲームとの相性も極めて良かった。
お馴染みの糸アクションは、大作のスタンダードであるオープンワールドの移動の面倒臭さを見事に解消。
ビックリするほど思い通りに動いてくれる操作性とレスポンスは素晴らしいとしか言いようがない。煩わしかったオープンワールドでの移動も、スパイダーマンを体験する演出に早変わり。
移動の快適さも相まって、色んなところを探索したくなるのだが、サブクエストをクリアーしたり収集アイテムを得ると、スーツやガジェットなどアンロックできて大きな見返りがあるのがゲームとして楽しい。移動と育成システムが上手く連動している。
しかも敵が結構強くて手こずる場面が非常に多く、育成が大きく役に立っていると感じさせてくれるゲームバランスになっているのがまた良い。
とは言え、育成が必須ではない。自分のスキル次第でどうにでもなる。
キャラゲーとは言え、そこそこの奥深さがあり、糸を巻き付けた敵を起点にしてコンボを作ったり、壁際にいる敵は糸を使えば即無力化出来たり、多種多様なガジェットの使い道など、割と戦略性がある。
戦闘システムは率直に言ってバットマンのパクリだが、糸による立体的な動きを絡められるのが特別面白く、縦に横にと激しく動いて敵を翻弄するのがとても楽しい。スパイダーマンのダイナミックな糸アクションはとにかくゲーム映えする。

ゲームとしては単調。敵の種類は少なく、展開に大きな動きはなく、メインミッションも同じ事の繰り返し。糸アクションを活かした立体的なマップでの戦闘が少ないのも残念。
単調さを誤魔化すためにスパイダーマン以外のキャラを操作させたりもしてくるが、これが本当にアクセントを付けるためだけに作られた内容で、やってることは退屈。
終盤になると怒涛の勢いでボスが湧いてきて盛り上がるが、戦闘はワンパターンの行動を繰り返すだけで攻略できて工夫がない。
それは仕方ないにしても、ラスボス戦のクライマックスで同じ動きの映像を見せてくるのは白けた。

言ってみれば、オープンワールドのテンプレートにスパイダーマンの世界観を混ぜただけのゲームだが、スパイダーマンを動かせるだけで楽しいのは間違いなく、しかも一流の技術力を持つ開発メーカーと巨大な予算を注ぎ込めるパブリッシャーが渾身の大作として作り上げているのだから、面白くないわけがない。
ゲームとしての側面を見ても、ゲームバランスは優れているし、探索や育成など洗練されていて、ただのスパイダーマン体験ゲームではなく、アクションゲームとして楽しめるものに仕上がっている。
反面、オープンワールドゲームの弱点である単調さはいつも通りで、底を感じるのは早い。
スパイダーマンゲームとしてのクオリティが過去最高なのは間違いないので、スパイダーマンが好きなら買うしかないよね。