格ゲーじゃん



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ニンテンドースイッチのアクションゲーム。開発は任天堂。

ボクシングをするゲーム。ゲームのキャラだけでなく、プレイヤーも。
散々話題になってるゲームなので皆知ってると思うけど、プレイヤーのモーションがキャラの操作として反映される。具体的に言うと、JOYコントローラーと呼ばれる小さなデバイスを右手と左手にそれぞれ握りしめ、プレイヤーが腕を突き出すとキャラはパンチを打ってくれる。
昔、wiiでパンチアウトという同じくモーションコントロールを生かしたボクシングゲームがあったが、あれよりもキャラとの一体感を感じたな。JOYコントローラーが凄く片手で握るのにフィットする形状なんだよね。ちょうど握り拳を作った感じになって、コントローラーの存在を感じずにボクシングごっこが楽しめた。
反応の精度も大幅に向上。ほとんどの操作がジャイロを利用したものだが、概ねちゃんと反応してくれる。移動までモーションなのは驚いたけど、慣れると凄く直感的で良かった。
何より、パンチアクションが気持ち良い。俺のへなちょこパンチもゲームを介せばあら不思議。巨漢をノックアウトする強烈なストレートに早変わり。パンチという破壊的な行為を、バーチャルではあるが相手にぶつけることができて、しかも大袈裟に反応してくれる。このカタルシスは相当なもの。
そして思う。人を殴るのは何て気持ちが良いんだと。誤解を招きそうだが、もう一度言います。人を殴るのが最高に気持ち良いんだこのゲームは。
受験や就職活動、仕事、スポーツ、ゲームなど、世の中には色んな形で闘いがありふれているが、拳を突き合わせて殴り合う、というほど純粋に闘っていると感じさせてくれるものはない。誰しもが心の奥底に持つ、闘争本能をこのゲームは掻き立ててくれる。実に気持ちが良かった。

このゲームの最大の特徴は、腕がびよーんと伸びること。
まず、キャラのデザインが面白おかしい。腕がバネのような変態デザイン。お前ら何があった。殴り合うゲームだが、キャラクターがユニークなので殺伐さを感じない。実に任天堂らしい。
次に、射程が長いということで、それに合わせてリングも広い。ギミックが色々仕掛けられていて、ただ殴り合うだけでは攻略できないようになっている。
そして、間合いが長いためパンチが非常に当たりにくい。逆を言うと、かわしやすい。ここが非常に大きなポイントだ。
モーションコントロールの対戦ゲームと言うと、今まで大味なものが殆どだったが、これのおかげで如何にパンチを当てるか、という事を重点的に考えさせられる、奥の深さを実現できている。
任天堂が言っていた通り、確かにコマゲーマーも満足できるガチゲーだった。闘うという意味でも、奥の深さという意味でも、格ゲーと言って差し支えない。

しかし飽きる。単純に、コンテンツ不足。
シングルモードは工夫のない勝ち抜き戦しかないし、色んなルールがあるがタイマン以外はつまらないし、なのにカジュアルマッチではランダムにルールが決められて全然タイマンをやらせてくれないし、対戦メインなのに勝敗などが記録されないのも不満。
成績をあえて残さない仕様といい、カジュアルモードのランダムルールといい、スプラトゥーンから続く、勝敗に囚われずゲームを純粋に楽しもうよ!という任天堂的なやり口が目立つが、大きなお世話だとしか言いようがないね。
スプラトゥーンはそういう空気感が一貫としていて世界観の一部でもあったから納得できたけど、アームズみたいなガチガチの個人主義の対戦ゲームでその考え方は生温いとしか言いようがない。頼むから気楽にタイマン戦をやらせてくれ。

やり込みも弱い。お金を集めてキャラの装備をゲットできるが、他のキャラが最初から持っていた装備が手に入ってそれが使えるようになるだけで、未知のものがアンロックされるワクワク感がまるでない。

結局、ランクマッチを解放してちょっと遊んだらもう満足してやらなくなってしまった。
スプラトゥーンと違って、基本的にタイマン戦で孤独なゲームなのに、一人で掘り下げていきたくなるようなヤリガイと目標と気楽さがない。
本質的には格ゲーなんだから、任天堂の全体主義を押し付けるのでなく、もっと個人主義的な作りで良かったんじゃないかと思う。せめてカジュアルでタイマン専用モードと成績の記録は用意して欲しい。
それでもやっぱりすぐ飽きたとは思うけどね。マルチゲームは昔に比べると大分やるようになったけど、格ゲーはどうしても合わない。孤独なのは辛い。
でも、ボクシングのシステムとモーションコントロールは凄く面白くて、スイッチのハード特性も活かしたそのハードにしか出来ない体験だったから、満足はしたかな。