関係ない



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仕事が終わり、家に帰る。さーて、お待ちかねのゼルダタイムだ!
でも、今はゼルダよりも大事な事があった。現在、4年に1度の世界的野球大会WBCが開催中。野球ファンとして、見逃すわけにはいかない。
こんな時、普通の据え置き機だったら、じゃあ野球が終わったあとに楽しもう、となる。だが、ゼルダを動かしているのはニンテンドースイッチである。ニンテンドースイッチは、据え置き機でありながら持ち運べるのである。
ドッグに装着しているディスプレイを抜き取り、電源ON。すぐさまスリープは解除され中断していた画面から再開。一方、モニターの中ではサムライジャパンが躍動している。
野球を見ながらゲーム。携帯機のゲームなら当たり前のようにできるが、据え置きでこんな時代が来るとは。うーん、実に快適だ。
でも、あれ・・・何だろう。なんかソワソワする。心なしか、気分が盛り上がらない。俺は今、何をしているんだろう。WBCを見ているのか、ゼルダをプレイしているのか。
ヒーローインタビューが流れている。いつの間にか試合は終わったようだ。

据え置き機は、面倒くさい。わざわざモニターの前に鎮座し続けなければならない。携帯機と違って、何かをしながら遊ぶなんてプレイスタイルは許容されない。
でも、だから、面白い。ゲームと真剣に向き合う事ができるから。ゲームに集中せざるを得ないから。
据え置き機が据え置き機たる所以は、コントローラーの存在や、ハイスペックや、充実したネットワークではなく、プレイヤーをゲームに集中させる環境を作ってくれる事だ。
だからゲームメーカーは、据え置き機ではゲームが売れない・コストがかかる・流行りにくい、というリスクが分かり切っているのに、苦しみながらゲームを作ってくれる。据え置き機は、ゲームを暇潰しの道具ではなく、ユーザーが本気で向き合うように取り組ませてくれるハードだから。これほどクリエイター冥利に尽きるものはない。
ソーシャルゲームでの儲けを取り上げて、最近のゲームメーカーは利益追求ばかりと言われるが、そんな訳はない。本当に利益しか考えてないなら、一部の確実に売れるゲーム以外はもはやコンシューマで作る意味なんてないんだから。新規タイトルなんてもってのほか。
未だに多くの会社が粘り強く色んなタイトルをコンシューマで出してくれるのは、ゲームメーカーとしての矜持があるからに他ならない。

要するに、ユーザーを本気でゲームに向き合わせてくれる据え置き機は、ソフト側もそれに応えて作られているものが多い。だから俺は据え置き機でゲームを遊ぶのが好きだ。
そんな据え置き至上主義のやたさんなので、当然最新据え置き機ハードであるニンテンドースイッチを即刻買った。最初の話に戻るが、スイッチのコンセプトである携帯性も活用してみた。
でも、据え置きのゲームを携帯機として遊んでもちっとも面白くなかった。全くのめり込めなかった。
確かに、持ち運べるデバイスとしては破格のスペックだし、ボタンの数も多いけど、そこじゃないんだよな大事なのは。何かをしながら遊ぶ。どこでもお手軽に遊ぶ。そういうものを排除して、ストイックにゲームに向き合わざるを得ない環境を構築してくれるのが据え置き機の魅力なんだから。
こんな据え置き機のスタイルを否定した設計のために、スペックを捨て、今までのギミック路線も捨て、持ち運べる以外は何の変哲もない普通過ぎるハードになってしまったのが残念で仕方ない。
スイッチの雛形でも、ディスプレイを二画面としてゲーム性に活かそうと苦心していたWIIUの方が遥かにハードとしてはワクワク感があったよ。

だけど言ってもしょうがないよな。スイッチはもう世に出てしまったんだから。
中途半端な上に据え置きのスタイルを半分否定しているスイッチのコンセプトが俺は死ぬほど気に入らないが、やりたい事を否定してしまってはダメだ。俺が気に入らないだけで、当然そのコンセプトによる光る部分はあるのだから。

とりあえず、据え置きと携帯機のシームレス性が凄い。ドッグにディスプレイを装着すれば間を置かずにモニターにゲーム画面が表示され、逆にドッグから抜き取れば、間髪入れずにディスプレイに画面が映し出される。
スリープへの移行や復帰も極めてスムーズで、ゲームの開始と終了に関する快適性は素晴らしい。

ただ、それを邪魔しているのがジョイコントローラー。スイッチには着脱式のコントローラーが2つ装着されていて、ある時は合体して単独のコントローラーになり、ある時はディスプレイの両端に取り付けて携帯機用のコントローラーになり、ある時は分離してパーティ用のミニコントローラーになる。
色んなスタイルに柔軟に合わせられると言えば聞こえは良いが、いちいちコントローラーを取り外して、装着させて、という流れが非常に面倒。ディスプレイと据え置きの切り替えがシームレスなだけにここの手間が余分過ぎる。
いやね、最初はジョイコントローラーをガチャガチャさせるの結構楽しかったんだよね。オモチャ感覚で。カチッとハマるのが気持ち良いし。
でも、そんなのは最初だけだった。外す時が割と硬いし、何回もやってると接続が悪くなのるのではないかという怖さもあるし、何より手間。
まぁ据え置きモードでずっとやってる俺は着脱する必要ないから関係ないか、と、思ったが、大アリだった。何故なら、ドッグに差し込まないとコントローラーを充電できないのです。
ジョイコントローラーはグリップに装着させることでいわゆる普通のコントローラーとして使えるのだが、本体に付属しているグリップには充電端子が付いていない。つまりコントローラー状態では充電ができない。
だから結局、一々コントローラーをバラしてディスプレイに装着し、ドッグに納める必要がある。そして遊ぶ時はディスプレイからバラしてコントローラーに合体させなければならない。
面倒くさい。あまりにも面倒くさすぎる。それが嫌なら充電端子付きのグリップを買えという事だ。ドケチ過ぎるよ任天堂。まぁACアダプターが付属されてない3DSよりはマシか。
と言うわけで、買ってきた。充電付きのグリップではなく、プロコントローラーを。
だって使いにくいんだもん合体ジョイコン。R1R2ボタンが押しにくすぎる。スティックの垂直の位置にボタンがあるのも辛いし、グリップも良くない。ジョイコンを普通のコントローラーとして使っている弊害がモロ出てる。
プロコントローラーは普通に使いやすいね。WiiUのやつと違って素材も良いから汚れにくいし。
ただ、イヤホンジャックがないのが地味に痛い。ワイヤレスヘッドフォンが壊れてからコード付きのモノを使ってるが、コントローラーに端子がないと、場所的にわざわざ延長ケーブルを用意する必要があるから面倒くさすぎる。
いっそのこと、ワイヤレスヘッドフォンまた買おっかなー。

ちなみにジョイコントローラーは、グリップに装着しなくても左右の手にそれぞれ持って操作することもできる。
これがカジュアルで意外と楽だったりするが、コントローラーの位置が固定されてないから違和感は物凄い。使ってるうちに慣れるのだろうか。いやー無理だろな。十何年も両手で一つのコントローラーを握ってきたんだから。
ただ、モーションコントロールとして使う分にはむしろやりやすいだろうね。アームズが楽しみ。

ジョイコントローラーは片方だけでも機能する。二つのコントローラーを分け合って、外でも一つの画面を共有したパーティプレイができる、というのが任天堂がスイッチ一番やりたい事だろうが、ミニコントローラーと化したジョイコンの操作性は恐ろしく悪い。
とにかくコントローラーが小さい。これに尽きる。持ちにくいし、ボタンも押しにくい。R1L1ボタンに至っては只の突起。あんなのボタンとは認めません。
このコントローラーでゲームを遊べって本気で言ってんのか?ツッコミ待ちとしか思えない。

そして、肝心の携帯機モードでの操作性も良くない。ディスプレイが真っ平らな形だからグリップが弱くて持ちにくい。ボタンの位置もシックリこず、常に違和感が付きまとう。
画面は想像以上に小さかった。携帯機のゲームなら充分だけど、据え置きのゲームを表示するサイズとしては物足りない。ゲームにもよるだろうけど、少なくともゼルダを携帯機モードでやるのは忍びないね。
ただ、ハードがコンパクトなおかげでちょっとした隙間に置けるのは助かった。ソフトもカートリッジ式になり、携帯しやすい。

なんか殆どコントローラーの話しかしてないけど、それ以外に言うことがないんだよね。機能面もビックリするくらい何もないし。
写真が保存できるのとニンテンドーショップがあるだけ。あとは本当にゲームをする以外なにも出来ることがない。
ブラウザやストリーミングサービスはおろか、ミーバースも無くなっている。任天堂はゲームのためのハードであることを明確にするためと言っているが、スイッチのようなハードこそ、タブレットみたいな使い方を出来るようにするべきだろ。それは任天堂だって分かっているはず。
多分、どうしても3月の決算に合わせてハードをローンチする必要があったんだろな。ネットワーク関連は間に合わなかったのだろう。
本格的なオンラインサービスは秋からなので、これからの進展に期待。とにかく速くNetflixに対応してくれ。

あとはHD振動が気になるが、ゼルダが対応してなかったので未だ体験できず。ニンテンドーショップにサンプルでも置いてくれれば良いのに。
製品版では対応しているドラクエヒーローズも、体験版では振動してくれないし。ケチ!流石に振動のためだけに一度買ったゲームを9000円払うのは無理っす。

想像以上に中途半端なハードだった。コンセプト自体が携帯機なのか据え置き機なのかどっち付かずだけど、コントローラーも色々とやろうとし過ぎてまとめきれていない。
合体や着脱というアイディアは面白く、一見すると上手く一つのハード内に収まっているように見えるが、実際はかなりギリギリのライン。ミニコントローラーに関してはアウトだな。はっきり言って使えるレベルじゃない。
スペックは旧世代レベルで、新しいギミックはHD振動くらい。明らかに突貫ローンチで全く機能は盛り込まれてないし、かと言ってゲームをやろうにもスケジュールはスッカスカ。
携帯機としても遊べるという点に惹かれなければ、全く良いところが見出せない。まぁそこが全てのハードではあるが、俺は据え置きのゲームを携帯機でやるなんてゴメンだ。

文句しか言ってない気がするが、俺はスイッチを買って一切後悔はしていない。何故なら、スイッチにはゼルダの伝説があるから。おっと、WIIUでも出てるなんて野暮な事は言うなよ。俺の中では、スイッチでしか発売されていない事になってるんだからな。
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドは、最高に面白い。それだけでもスイッチを買う価値はあった。
ハードの中身なんて関係ない。結局、ソフトがあるからゲーム機を買うんだから。魅力的なゲームがあればそれで良い。