よくある



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PS4のアドベンチャーゲーム。開発はスーパーマッシブ。

清々しいまでにストーリーに特化したゲーム。ゲームとしては、ほぼ一本道の動線上に動いてあとはたまに表示されるボタンをタイミング良く押すだけ。
しかし、ストーリーと演出をテンポ良く見せるという一点に集中しているため、お話を楽しむ分には非常に入り込みやすい。そういう意味ではテキストアドベンチャーとタイプが似ている。
動かせると言ってもアクションや駆け引きや自由度、と言ったゲーム的な要素はほぼないが、普通のテキストアドベンチャーと比べて少なからずインタラクティブ性、すなわちゲーム特有のキャラとの一体感が感じられるので、臨場感はある。実際、本作の映像クオリティはかなりのもので、話に迫力を持たせていた。

本作の場合、ジャンルがホラーという事で見せたいのはストーリーと言うよりは演出だろう。ホラーはお話がお粗末でもとにかく怖ければ良いからな。
で、そこら辺期待しながらプレイしていたのだが、とりあえず怖くはなかった。得体の知れない恐怖みたいなものは一切なく、ひたすら表面的なドッキリ演出で攻めてくる。そりゃ急に脅かしてくるからビビるけど、あまりにもそれに頼り過ぎでホラーとして安易だと言わざるを得ない。
話の展開にしても、真冬のコテージで殺人鬼に襲われる設定や古典的なホラー演出など、前半はわざとステレオタイプなサスペンスホラーを強調し、中盤にそれを逆手に取ったネタバラしが入ってそれをキッカケに全く話の展開が変わる、という構造は悪くないが、中身自体が全然面白くないから困る。
使い古された演出と設定に満ちた前半はありきたりだが王道だけに安定したホラーの緊張感があるものの、中盤以降はどこかで見た事があるような展開な上にチープ極まりないのだから退屈だとしか言いようがない。
ただ、これは規制による問題でもある。このゲーム、死亡シーンがかなりグロいらしくその殆どが国内版は規制されている。グロテスクの度合いはさておき、誰かが死ぬ場面というのは演出的にもストーリー的にも大きな山場なのに、そこを見せてくれないのだから盛り上がる訳がない。
しかも規制の仕方がマズい。グロい場面が流れている間、一切の画面がシャットアウトされる。チラリとでもヤバげな死体が映ればすかさず暗転。終盤は人が死にまくり暗転のオンパレードで何が起きているのか訳が分からなかった。
つうかそこまでして規制しなきゃいけないって一体どんだけグロいんだよ。あー気になって仕方ない。youtubeで検索検索、っと。
わーお、確かにグロいね。異星人とかではなく人間のグロだし、規制はやむなしか。
それは仕方ないが、モザイクで対処しろよとは思うね。当然これらの場面にもストーリーの情報は含まれているんだから、画面全体が暗転されると話が掴みにくくなる。ローカライズのやり方が手抜きだと言わざるを得ない。

このゲームのもう一つの特徴が、バタフライシステム。
ゲームオーバーという決められた結末がなく、選択肢やQTEと言った行動が何重にも積み重なって話に変化を生み出すというもの。同じジャンルのヘビーレインやビヨンドでも似たようなシステムが取り入れられていたけど、取って付けた感が強くショボかったので今作もどうせ大した事ないだろうと思ったが、
話の中に何度もバタフライ効果の解説があったり、自分の行動が細かにパラメーターで管理されていたり、未来予知できる仕組みがあったり、と、かなりこのシステムを強調していて、これは意外と作りこまれているのかもと期待させられた。
思わせぶりなだけだった。選択肢によって演出がちょっと変わって、あとは生存者の内訳が変化するだけ。結局ストーリーの大筋は変わらないので面白味がない。ゲームオーバーはないが、結局決められた結末に帰結するわけだ。
そもそも飛ばせない部分が多すぎるので周回しようという気になりにくい。ゲーム性は一切ないからただ初見と同じようになぞるだけ。
ここら辺がこのジャンルのかったるいところだな。スキップが容易に出来るテキストアドベンチャーならともかく、本作のようなキャラを動かせる作りで周回前提のデザインは合わないね。

ストーリーはつまらないし、ホラーの演出はワンパターンだし、バタフライシステムはハッタリだし、と、ウリとなるはずの部分がことごとく滑ってる。
規制さえなければそれなりに盛り上がって楽しめるのだろうか。うーん、微妙だな。結局のところ、ありきたりだもんな。