バブルが如く



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PS4とPS3のアクションゲーム。開発は龍が如くスタジオ。

いつも通りの龍が如く。ではあるが、1988年を時代背景として据えているのは面白い。怪しく光るネオンや時代を代表するキャバレーの絢爛ぶりはもちろんのこと、張り紙や立て看板やコンビニの品揃えやゲームセンターのラインナップなど細かいところまで時代考証されその当時の空気感を作り上げている。舞台はまたも東京の神室町と大阪の蒼天堀で新鮮さはないが、時代の違いが感じられるだけでも多少のマンネリ解消に繋がっていた。
そして、何と言ってもこの時代と言えばバブル全盛期。とにかく金の存在がやたらめったら強調されてるのが面白すぎる。そこら辺にいるチンピラをボコれば軽く100万は手に入るし、章をクリアーする度に何千万という金が支給され、ギャンブルに勝てばあっという間に億万長者。その大金を100万自動販売機やキャバレーやギャンブル等に使って湯水のように消費していく快感。あっという間に貯まってあっという間に消えていく。まさしくこれぞバブル。もう金銭感覚がどうにかなりそうだった。
お金を貯めるのに最も有効な手段が不動産経営というのが時代背景的にドンピシャだし、これがメインから外れた要素でありながら無駄に良く出来ていてどうでも良いところを本気で作る龍が如くの本領が垣間見えて素晴らしい。
またお金はただ寄り道で使うだけでなく能力アップやスキル取得にも必要なため、ストーリーだけを目当てにプレイしていても積極的に金を貯めようという気になる。で、金が貯まると何となく散財したくなって寄り道しようという気になる。その好循環に乗って、今作はサブクエストや施設巡りなど龍が如くの醍醐味である寄り道を充分満喫できた。
まぁ相変わらずエンカウント率が高くて散策の気は削がれるが、今作は雑魚が金にしか見えないので問題ない。殴る度にジャラジャラ音をさせながら金を散らばけるのが爽快すぎる。もはや打ち出の小槌状態。財布があっという間に金で満たされていく。またお金をばら撒くことで絡もうと寄ってくるチンピラ共の気を引いてエンカウントをキャンセル出来るのが素晴らしい。
お金を全面に押し出した事でとても爽快感に溢れているし、それを活かした仕組みが新鮮味を生んでいるだけでなく、このシリーズ特有のはっちゃけたノリと寄り道の楽しさを一段と高めている。これは素晴らしいアイディアだ。

ストーリーも中々面白い。相変わらず無理矢理で不自然な展開が目立つが、とにかく熱かった。主人公はもちろんのこと敵も含めて、登場人物の愚直な生き様がカッコ良い。演出も決まっており、特にボス戦前のヒートアップぶりは手に汗握るものがある。ムービーで気持ちが最高潮に高まったあと流れるように戦闘へ繋がるのでボタンを押す指にも力がこもる。ストーリーの熱が、そのままゲームプレイへと繋がっていた。
まぁ戦闘はあまり面白くないんだけど。今作はいつも以上に単調だったな。特に真島が主人公の時はひたすら同じ技の連打で済んだ。龍が如くに戦闘の緻密さは求めてないけど、ボス戦はもうちょっと激しくても良かった。前作の維新はボスが結構難しかったからそこで白熱し、ストーリーの熱がプレイアブルに繋がるだけでなく、プレイアブルの熱がまたストーリーの熱中度にも繋がって、これぞゲームという媒体にしか出来ないストーリー体験という感じで凄く熱かったが、今回はイマイチ。戦闘前の演出とボスの人間味あるキャラクターが良いだけに勿体ない。

いやー今作も面白かった。マンネリと戦い続けているこのシリーズだけど、バブル時代とは良い所に目を付けたな。それでいて寄り道やストーリーなど、求められている部分も安定した出来を誇っている。龍が如く好きなら間違いなく買い。という作品を毎回ちゃんと仕上げてくるのだから凄い。
龍が如く好きなら間違いなく買い。