映像は進化。内容は退化




2014-05-27-01-10-11


PS4のアクションゲーム。開発はサッカーパンチ。

次世代機が発売されてから結構経つがソフトの多くは現行機とのマルチでハードの性能があまり活かしきれていない現状の中、PS4に特化して作られた待望のゲームがようやく登場。
とにかくグラフィックが凄い。文句なしにこれぞ次世代と呼べる超絶クオリティ。清潔すぎるきらいはあるが街並みなんて完全に実写レベル。夕焼けの光で照らし出される風景とか身震いするほど美しい。そんな超クオリティで作られた都市の中を超能力を使ってあり得ない動きで暴れ回れるのだから興奮しないはずがない。
今作の超能力は、煙・ネオン・ビデオ・コンクリートの4種類。どれも特徴的でシリーズでは初登場の超能力なので新鮮だし、相変わらずとんでも能力だらけで使っていて楽しかった。操作性が良くキビキビ動くのもアクションの楽しさを加速させている。
パーティクルのエフェクトも派手で美しく、特に必殺技の演出は規格外のぶっ飛びっぷりで本気で驚いた。まさにこれぞ必殺技と呼ぶに相応しい、凄まじく破壊的な絵作りで、威力も絶大だし、とてつもない爽快感に満ちている。PS4のパワーを垣間見た瞬間だった。
超能力を使った移動アクションも進化しており、中でも大きいのがクライミングに頼らず高い建物を一瞬で駆け上がれること。快適に立体的な動きが取れるようになり、縦に横にとフィールドを広く使った自由自在なアクションは如何にも超能力者っぽくて心地良いし、楽しい。

と、如何にも快適で爽快感重視のアクションに見せかけているが、案外ストレスとなる部分は多い。敵がやたらと硬くちょこまか動くのはいつも通りだが、今作は巻き込み系の大技の種類が少ないうえにパワーダウンしているし、通常攻撃だけでもエネルギーが消費されるのでしょっちゅう補給しなければならないし、必殺技は条件が厳しくて中々使えないからだ。技のバリエーションも少なく、なんか前作より超能力で敵を蹂躙している感が薄い。
そして今作の一番の不満点はメリハリのなさ。いつ出るのかとワクワクしていた巨大な敵は殆ど出て来なかった。ミッションの度に同んなじような特徴のない地味な敵を潰していくだけ。超能力アクションは確かに楽しいが、あまりにも敵が面白味に欠けているのでダレてくる。
前作はアクションだけでなく、敵のスケールも大きかった。要所要所でモンスター映画を彷彿とさせるような馬鹿でかい怪物が現れ、興奮させてくれた。そいつが都市の中を暴れ回る様子なんて最高に壮観で、人々が逃げ惑い、木々は倒され、車は炎上し、建物が崩れていく光景には凄まじい臨場感があった。怪物との戦闘は大雑把だったが、元々インファマスのアクションは駆け引きが薄いのでそんなことどうでも良く、大味を突き詰めたあのスケールにとてもワクワクさせられたものだった。
対して今作は一応ボスみたいな敵はいるが、決められた空間での戦闘となるためハッタリめいており、迫力はかなり弱い。加えて今回は敵の勢力が一つだけ。2は、モンスター・暴徒・超能力者と三陣営がせめぎ合っていて、モンスターと暴徒が争っている中、超能力を持つ主人公が乱入して更にカオスになっていくあの感覚が最高に楽しかったのに、それもなくなった。
これらの要素はメリハリを生んでいただけでなく、なんでもありな世界観を強調し、超能力というあり得ない力のカオスっぷりとスケールを更に高めていたのに今作は一気に魅力が後退した。
使えるパーツが少なくなったからかゲームのボリュームも減り、7時間くらいでエンディングに。これだけ短いにも関わらず似たようなことの繰り返しなのだから内容は相当に薄い。特にサイドミッションのやる気のなさはヤバい。つまらないを通りこしている。前作はあれだけバリエーションがあって内容も魅力に溢れていたのに、どうしてこうなったと目を覆いたくなるほど酷い。

率直に言ってガッカリ。映像は進化したが、内容的には激しく後退していると言わざるを得ない。あまりにも単調すぎる。シリーズ初めてなら超能力が使えるというだけで充分楽しめた気もするが、2を経験してしまっただけに物足りなさだけが残る。
まぁPS4のローンチ付近に出すために急ピッチで仕上げた感がありありと伺えるし、新しいハードということで試行錯誤した面もあって内容を磨いている余裕はなかったのだろう。次回作は映像だけでなく、内容も満足できるものに仕上がっていることを祈る。
内容的にはガッカリだが、現時点で次世代のパワーを充分に感じ取れる希少なタイトルなので、PS4持ちなら買う価値あり。