グラスホッパー成分が邪魔だなぁ




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PS3のアクションゲーム。開発はクリスピーズとグラスホッパーマニファクチュア。

東京ジャングルのクリスピーズとパンクなノリのゲームを作るのが得意な須田氏率いるグラスホッパー、それぞれ特色が強い二つの会社がタッグを組んで作られたゲーム。

ゲームの内容は追いかけてくる妖怪に捕まらないよう超スピードで走り抜けるスクロールアクション。
特徴となるのは敵を倒すと発生するエフェクトに相手を巻き込めば連鎖的に撃破できることで、高速で流れていく疾走感にエフェクトの鮮やかさが組み合わさって爽快感が増していた。また、そうやって敵を倒していくことでゲージが溜まり、ゲージが一定溜まると追いかけてくる妖怪を退治するショットを放てるようになる。
このゲームのミソは妖怪の存在であり、捕まると即ゲームオーバーとなるため如何にスピードを殺さないまま走り抜けるかというプレイヤースキルを求められる部分が生まれているし、敵に追いかけられながら中々溜まってくれないゲージメーターと睨めっこして「はやくゲージ溜まってくれー」と焦らされる感覚は緊張感があって面白い。
スピード感と緊張感、連鎖の爽快感、そしてテクニックを自然に求められる仕組み、と、単純明快な内容ながら色々な楽しみが詰まったこのゲームは中々良く出来ている。
しかし、2時間で終わった。うん、2時間。ムービーや紙芝居を除いてプレイアブルの部分だけに限れば1時間もなかったと思う。ゲームのステージは数分で終わるものが10個用意されているだけ。そのうち3つは高速アクションと関係のない微妙なボス戦でお茶を濁している始末。しかも有難くないことにグラスホッパーお馴染みのクソ退屈なレトロちっくゲームで貴重な10個の枠の一つが埋まっている。このボリュームで6000円は高いと言わざるを得ない。
元々このゲームはショートピースという映画の企画の一環で作られたものであり、ゲーム自体はバンドルで売るためのオマケみたいなもので、映画単体のブルーレイが定価6090円、ゲームとのバンドルが定価6980円であることを考えれば差額分の価値は十分にあるが、パッケージしか購入方法がないため、ショートピースの映画に全く興味がなければこの抱き合わせ販売はぼったくりと言われても仕方がない。俺は映画の方も興味があったから良いけど、ダウンロードという形でゲーム単体の配信もするべきだったね。
映画とゲームが一緒になって初めて価値が生まれるような繋がりがあるならまだしも、別に映画の内容を補完するような内容でもないし、そもそもテーマの繋がりもそれほど感じられず、無理矢理一緒にする必要性は見出せない。
そもそも世界観が唐突すぎて意味が分からなかった。同じくグラスホッパーが作ったキラーイズデッドでも思ったが、設定に繋がりが感じられず、とりあえずユニークなアイディアを適当に詰め込んどけというごった煮状態。要するに底が浅い。パート毎に絵のテイストがガラッと変わるのは面白かったけど。
アドベンチャーパートとゲームパートの内容も全くリンクしておらず、ゲームの熱を保ったままストーリーに入り込むという事が不可能。それぞれディレクションしている人が違うからだろうが、ここまで相互に接点がないのはある意味凄い。

ショートピースという肩書きも、須田氏のセンスがあるんだかないんだか良く分からない世界観もどうでも良いから、高速スクロールアクションだけに絞ってゲームを作って欲しかったというのが正直なところ。
ショートピースの企画のおかげで日の目を見ることができたアイディアなんだろうけど、これでは消化不良感が拭えない。もったいないなぁ。