ひたすら映画の感想を書いていく




・モンスターズユニバーシティ

モンスターズインクの前日譚。怖がらせ屋になりたいという夢を抱きながらチャーミングな外見のせいで素質がないとみなされていたマイクの大学時代の物語。
普通に良い話だなぁ。誰にでも足りない部分はあり、それは努力ではどうにもならないこともあるけど、弱点は自分の持っている強みでカバーすれば良いんだ、と言うことを、とても分かりやすく、かつ、エンターテイメントとして面白く仕上げている。テーマとエンターテイメントの両立。この点に関してピクサーは本当に上手い。
でも、ワンパターンと言えばワンパターンなので、ちょっと飽きてきた気もする。


・ワイルドスピード ユーロミッション

あまりにもグダグダなストーリーをスペクタクルなアクションでカバーしている典型的なハリウッド式映画。
とりあえずアクションは凄い。飛行機の場面は見所満載。カメラがコロコロ変わるので何をやっているのかワケワカメだったが、とにかく凄いことをやっているなということは伝わってきた。


・メメント

10分間しか記憶が保てない男の話。
ストーリーを時系列の逆順から展開させていくというやり方は斬新で、それにより、何故こうなってしまったのか、というミステリー的な側面を強めていると同時に、記憶が保てない主人公の心境と視聴者をリンクさせることに成功している。
でも、ストーリーが本当にしょうもなくてどうでも良かった。ストーリーの筋を楽しむ映画ではないのだろうけど、オチのしょっぱさに全てがどうでも良くなった。


・クロニクル

パラノーマルアクティビティに代表される、ドキュメンタリー風映画。対象となるのは超能力を得た少年たち。
なんか、そそられない。何でだろ。嘘くささとリアリティの融合こそがこの手の映画の真骨頂であって、本作の題材はズバリそれに当てはまっているはずなのに、どういうわけだか全く惹かれなかった。
「これをYoutubeにアップしても誰も信じてくれないだろう」というキャッチコピーが鼻に付くなぁと思いながら見たからだろうか。


・俺はまだ本気出してないだけ

42歳で子持ちでフリーターで漫画家志望のおっさんの話。
うわー、随分と都合の良い感じに上手く回ってるなぁこいつ。適当に生きていても何とかなるもんだと観てる人を勘違いさせる毒映画だなこれは。
と途中までは思っていたが、よくよく考えたらこれは主人公が本気を出すまでの過程を描いた話であり、そう考えると主人公のグダグダな感じも共感に変わった。
頑張ろうと思っても中々頑張れない。強い決意を抱いたところで目的に向かって100パーセントの意識を働かすことなんてそう簡単に出来ることではない。
グダグダウダウダ回り道しながら、徐々に意識を高め、ようやく本気を出すと決意した主人公の姿は、凄く現代的で、何となく元気を与えられる。


・別離

“認知症を患ってる親父の介護のために家政婦を雇ったら、色々と面倒なことになってしまった”

イスラムの宗教観と慣習が密接に絡んだストーリーとテーマであり、そこからイスラム社会の実情が浮き彫りになっているが、そういうややこしい社会風刺的な観点を抜きにしても、二転三転する裁判の顛末が面白かった。みんな平気で嘘を付いてくるので展開が読めない。
あと、父親がクズだった。重要な決断を自分の判断とせず、暗に娘に責任を背負わせる酷い野郎だった。なので娘はさっさと母親の元に行くべき。


・エンドオブホワイトハウス

“北朝鮮のテロリストがホワイトハウスを襲撃し、アメリカとアメリカに守られている周辺諸国は窮地に陥るけど、一人のアメリカ人が全て何とかしてくれた”

何というプロパガンダ映画。世界を守ってるアメリカ様は凄いんだとひたすら叫び続けている。
それだけだとわざとらしいのでアメリカに同情したくなる仕掛けがいくつも施されているが、ところどころで他国に対する横柄な姿勢が見え隠れしていてちっとも誤魔化せていないあたり笑える。
しかし何より笑えるのはアメリカの情けなさで、拷問に弱すぎる大統領、無能極まりない政府高官、北朝鮮のガンシップにホワイトハウス上空の侵入を許してしまうセキュリティのザルさなど、こんなアメリカ様には守って貰いたくないという気持ちを抱かせてくれてプロパガンダとして逆効果にしか見えないのが笑えて仕方なかった。
アクションとしては普通に凄い。物語的には突っ込みどころでしかない、ホワイトハウス上空のガンシップ無双は映像としてはとても映えていた。


・イヴの時間

アンドロイドが人間の世話役として一般普及した世界での話。人間とアンドロイドの間に絆が生まれることをドリ系と馬鹿にする風潮が強い中で、ロボットと人間を区別しないしきたりがあるカフェが存在した”

何だろう、この釈然としない感じは。アンドロイドでありながら見た目も思考も個性も人間とほぼ変わらない、という部分がこの映画のミステリーでありそこからテーマに派生させているのは分かるが、カフェ内にいる間のアンドロイドはどこからどう見ても人間そのものであり、ロボットらしさなど微塵も感じられず、それってもはや人間じゃね?という考えが頭から離れなくて仕方なかった。カフェの外では必要以上にアンドロイドとしての側面が強調されているとは言え、どうにも納得いかない。
ロボットのアイデンティティと人間のアイデンティティに明確な差が感じられないため、結果的にテーマがあやふやになっている気がする。


・きっと、うまくいく

名門大学に所属するとある三ばかトリオの活躍を描いた話。インド映画。
面白い。本当に大事なことは〜的な話から始まり、前向きに生きることの大切さ、自分の意思で選択していくことの重要性など、人生の支えとなりそうな教訓がふんだんに取り入れられ、それを説教臭く語ることなく、喜劇として昇華しているのが上手い。2時間50分と長い映画であるが、笑いあり涙ありで、喜怒哀楽がたくさん詰まっていてダレがこない。
やはりインド映画はどうしても踊りたくて仕方ないらしく、脈絡なく唐突に踊り始めるのも愉快だった。


・俺俺

“たまたま手に入れた携帯電話を使ってなんとなくオレオレ詐欺をしてみたら、次の日、その携帯電話の持ち主は俺になっていた”

俺が増殖しすぎてどれが本当の俺か分からなくなったけど本物の俺はちゃんと自分の中に居たよって話。
自分とは何かを突き詰めるテーマの作品は数知れないが、それを増殖した自分と向き合わせることで見せるというのは、映像的にもストーリー的にも意図を分かりやすく表していて秀逸なアイディアだなと感じる。何より、増殖するキッカケがオレオレ詐欺を起こしたからというのが面白い。
あと、エンディングの演出がとても良かった。