エンターテイメント大作のお手本




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“宇宙船エンタープライズ号の船長であるカークは、ある任務で命の危機に晒されたスポックを救った際、規則を破ってしまったためにキャプテンの座を剥奪されてしまう。
一方、ロンドンではジョン・ハリソン中佐によってテロが引き起こされていた。調査方針を協議する為にサンフランシスコにて上級士官が一同に集まったが、そこをハリソンに襲撃されてしまい、カークの恩師であるパイクもその際に殉死。
怒りに震えるカークは、再び船長としてエンタープライズ号を率い、ハリソンが潜伏する惑星クロノスに向かう。”

何と言うか、エンターテイメント大作のお手本のような作品だった。映像のスケール、CGのクオリティ、盛り上がる演出、一気呵成の展開、魅力ある登場人物、上滑りしていない人間ドラマ、どれを取っても水準以上で隙がない。同じくSF超大作であるスターウォーズを軽く超えてるんじゃないかと思ってしまうほど。
ストーリー的にも映像的にも序盤から既に勢いはMAXで、これ以上どう盛り上がるんだという心配をよそに、こちらの予想を上回るペースで次々と繰り広げられる胸が沸き立つ展開には心が踊る。テーマ曲が流れるタイミングも完璧。
盛り上がりどころを詰め込むだけ詰め込んだような内容にも関わらず、ご都合主義になっていないストーリーも素晴らしい。演出ありきのストーリーではなく、あくまでストーリーのラインに沿った上で怒涛の見せ場を詰め込んでいる構成には恐れ入った。ストーリーと演出が見事にリンクしているのだからより一層手に汗握る。
人間ドラマもベタではあるが外していない。直感でなすべきことをなそうとするカークと、論理的に物事を解決しようとするスポックのコンビは上手く対比していて物語に深みをもたらしている。超論理的な思考を持つスポックが、怒りに我を忘れるシーンは普通に名場面。
それでいて敵役も魅力的。たった一人の人間相手に大規模な組織が右往左往させられる展開はやはり見ていて面白い。大抵の悪役はアホばっかだが、こいつは中々のキレ者っぷりで常に何かやらかしてくれるんじゃないかという緊張感をもたらしていた。
ただ、話の規模は序盤の大それた展開にしては結局小さく収束してしまったなという印象は拭えない。人間ドラマも見所の映画であるので、無駄に広げたら大味な話になりそうだからこれで良かった気もするけど。あと、敵役のジョン・ハリソンはもう少し活躍して欲しかったなぁ。
言い忘れてはならないのが3D。これが本当にすんごかった。今まで10作品は3Dで観たが、初めて凄いと思った。本当に迫ってくる感があって大迫力。これまで観た映画の3Dは奥行きばかり強調していて、3Dは飛び出してナンボだと思っている俺としては不満しかなかったが、これは大満足。特に序盤の3Dは本当に凄いので、是非とも3Dシアターで観て欲しい作品。