酔う




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PS3とXbox360の一人称シューティングゲーム。開発は4Agames。

メトロというタイトルだけあって、主な活動の場となるのは地下線路内で画面がとにかく暗い。本当に見にくい。しかしこの暗さがゲームの特徴として活きているのはとてもユニーク。
暗がりの中に入れば敵はプレイヤーを発見出来なくなるので、ランプや電球などの光源を消していって暗闇を作りその中に紛れて雑魚を暗殺していく、という流れが基本となる。敵に見つかった状態からでも暗がりに隠れさえすれば簡単に見失ってくれるのでサクサクステルスできるのが良い。普通はステルスプレイをしようとすると敵との位置関係の把握を極端なまでに求められテンポが悪くなるが、このゲームは暗闇にさえ入ればほぼバレないので実にテンポ良くステルスができる。
一方で、敵の位置情報を知る術は視認しかないので暗闇を作ると自分も敵を発見しにくくなるというのが面白い。プレイヤーも敵が何処にいるのか分からないので慎重に行動せざるを得ない。かと思えば光に弱い敵もいたりと、光と闇を上手く使い分けたゲーム性はメリハリが効いている。メトロという舞台をストーリーや雰囲気だけでなくゲームとして活かしているのは素晴らしい。
画面作りもスマートで、情報を殆ど排除してゲームであることを感じさせない一人称視点の作りは臨場感をより増幅させている。マスクを被っていれば水滴や泥や飛び散った血液が画面に付着して手でそれを拭き取れるなど芸が細かい。

と、中々面白いゲームではあるのだが、最大の欠点はとにかく眼が疲れること。暗い画面の中で敵を探すために目を凝らす場面が続くので眼が死ぬ。積極的に眼精疲労を与えてくれてゲームばっかりやってちゃダメでしょと気付かせてくれる貴重な作品である。俺の場合は酔って気持ち悪くもなった。ゲームで酔ったことは今までないのに。画面が暗いのはゲーム内調整で弄れば解消されるが、そうしたら一気に緊張感がなくなるのが難しいところ。
あと、人間との戦いは暗闇を利用できたりするので面白いが、それ以外のクリーチャー戦は本当に単調でつまらない。やたらと硬くてイライラするし。キャラの動きやインターフェースがもっさりなのももどかしい。

眼が疲れることさえ我慢できれば中々楽しめるシューティングゲーム。情報が殆どなく、プレイヤーの視認性がそのままゲームバランスに直結しているのは、映像クオリティが高いからこそ出来る芸当。メトロの雰囲気はとても陰鬱としていて素晴らしいし、ステルスゲーとしても他とは違う楽しさがある。
あとどうでも良い事だけど、最近までずっとメトロラストナイトだと思い込んでいた。ラストライトなのね。