郷愁日記






“古い時代。朽ちぬ古竜が支配する世界、ロードラン。霧に覆われ、全てが灰色だった。
だが、はじめての火が起こり、光と闇が生まれた。その闇から生まれた幾匹かが、王の力を見出し、古竜に戦いを挑んだ。

ー最初の死者、ニト
ーイザリスの魔女と、混沌の娘たち
ー太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち
ー誰も知らぬ小人

そして、ウロコのない白竜、シースの裏切りにより、遂に古竜は敗れた。火の時代は始まったかに見えた。
だが、火は消えかけ、暗闇だけが残る。人の世には届かぬ光。
次第に人の中に、呪われたダークリングが現れはじめていた。彼らは不死人となり、世界の終わりまで幽閉される運命にあった・・・”

・ここまでのあらすじ
不死人となり心、すなわち人間性を失ってしまった主人公は、不死の使命を果たすためにロードランの地へ降り立った。
クリスタルゴーレムから入手した割れたペンダントに導かれるようにして訪れたロードランの森の奥で時空の渦を発見した彼は、その渦から現れた巨大な手に引きずり込まれてしまう。引きずり込まれた先で目覚めた地は、数百年前に滅びたはずの魔法都市、ウーラシールであった。
ウーラシールの守護者、エリザベスが語るには、この国は今にも深淵の主より生じた深淵の闇に飲み込まれそうだと言う。その根源を倒すため、アルトリウスという騎士がアノール・ロンドより派遣されたと。
だが、アルトリウスは既に深淵に取り込まれ、自我を失っていた。止む無く主人公はアルトリウスと対峙することになり、彼を倒し闇から解放した。

アルトリウスと同じグゥイン王に仕える四騎士の一人、鷹の目のゴーは、かつての友を闇から救ったことに対し、主人公に感謝する。だが同時に、彼は不穏なことを告げた。
アルトリウスを蝕んだ深淵は、いずれウーラシール飲み込むだろう、それは深淵の主を倒したところで止められないことである、と。
そしてこうも言った。深淵の主である古の人・マヌスを蘇らせたのは、黒い蛇に惑わされたウーラシールの民自身の行いであると。
民が住む市街へ訪れるが、彼らは闇の力により人間性が暴走し、異形の者へと姿形を変えていた。自我を失って襲いかかってくる彼らを退けながらも進むと、青黒いシミに覆われた廃墟を発見する。それは深淵の闇がここまでもう侵食し始めていることをまざまざと証明していた。
廃墟の地下へ進むにつれ、どんどん色濃くなっていく青黒いシミ。そして発見する。地下牢の崩れた壁から繋がる、一縷の光も見えない深淵の穴を。
この奥底に、闇の根源がいる。

主人公・・・不死人。不死院の牢獄に囚われていたが、ある戦士の手助けにより脱出。ロードランに辿り着き、旅している途中、時空の狭間に飲み込まれ数百年前のウーラシールに降り立つ。

アルトリウス・・・火の時代の先駆者である、グゥイン王に仕える四騎士の一人。ウーラシールで封印されていた深淵の主が復活したことを受け、アノールロンドより派遣されるも、使命の途中で闇に蝕まれてしまう。

灰色の狼シフ・・・アルトリウスの相棒。アルトリウスが亡くなった今でも彼への想いは絶えることなく、ロードランの森に建てられたアルトリウスの墓を何百年も墓荒らしから守り続けている。

白猫アルヴィナ・・・アルトリウスとシフの数少ない友人。ロードランにあるアルトリウスの墓を静かに見守っている。

ウーラシールの宵闇・・・ウーラシールのプリンセス。クリスタルゴーレムに囚われてしまい、ロードランにまで迷い込む。ゴーレムからは主人公により助け出されたが、今はマヌスに連れ去られている。

古の人マヌス・・・深淵を発生させている張本人。かつては人であった。なくした割れたペンダントを探し続けている。そのペンダントからは、強い愛慕の念が感じ取れる。

闇撫でのカアス・・・巨大な黒い蛇。闇の時代を築くことを企んでいる。ウーラシールの民をそそのかし、マヌスを復活させた。


物語のバックボーンの説明はこれぐらいにしておいて、最後のウーラシール日記、始めていこうか。


『深淵の穴』

真っ暗闇。本気で何も見えない。光を発する太陽虫を頭に装備し、足下を照らす。
コケシの形をした無数の黒い精が漂っている。大きさは大小様々で、人間性にそっくりな形をしている。倒すと高確率で人間性を貰えることが物語っている通り、こいつらは肉体を失って彷徨っている人間性なのだろう。人の身体が恋しいのか、人間性が次々と擦り寄ってくる。触れるとかなりのダメージ。あまりにも数が多いので逃げる。
逃げていると前方に何やら白くボヤけた物体が浮かんでいる。どこかで会った覚えがあると思ったら、ロードランの森でアルトリウスの墓を見守っていたアルヴィナじゃないか。またどうしてこんなところに。話しかけようとして近付くとアルヴィナは消えてしまった。

そこら中に人間性が彷徨っており、歩く隙間もありやしない。何とか人間性の間を縫って歩いているとまたアルヴィナの姿が。近付くと消えてしまうが、少し先にまた彼女の姿が見える。近付くとまた消え、前方に現れる。まるで何処かへ誘ってるかのようだ。
しかしそれを繰り返して追っている途中でアルヴィナの姿が忽然と消えてしまう。壁に吸い込まれていくかのようだった。丁度その前にはメッセージが。

「攻撃しろ!」

書き記されている通り壁を攻撃すると、幻術で隠された道が開かれる。進んでいくと大量の人間性。その奥には結界のような魔法陣が張られている。って魔法陣に囲まれているのは狼シフじゃないか。ロードランの森で対峙した時と比べると凄いスモールサイズだ。アルトリウスと一緒にウーラシールに来ていたのか。
どうやら人間性から身を守っているようなので、周りの人間性を全て倒してシフを助けてあげた。辺りが落ち着くと結界は解除。シフは遠吠えを上げるとそのまま消えてしまう。シフの身を守っていた結界の大盾が手に入る。それは、深淵に侵され始めたアルトリウスが、シフを守る結界の糧として別れ際に残した物だった。

光る置き石に沿って道を降りていく。石柱が倒れて橋となっているので渡って進む。
するともうボスエリアを隔てる靄を発見。ここが深淵の終着点か。靄をくぐり抜ける。
暗闇の中に朧げに光る無数の赤い点々。その明かりから薄っすらと見える巨大な体躯。全身を闇がとぐろを巻いてるかのように黒い何かが巻き付き、頭からは異様に発達した角が飛び出している。ウーラシールの民も闇に飲み込まれて異形な形へと姿を変えていたが、まだかろうじて人間の形を保っていた。だがこいつはもはや尋常じゃない。まさに深淵の主と呼ぶにふさわしい。その姿になってもなお彼は、自身の壊れたペンダントを求め続けている。

戦闘開始。腕が飛んでくる。死亡。

リトライ。
主人公を過去のウーラシールへ引きずり込んだマヌスの左手は異様に発達しており、想像以上のリーチと攻撃力を誇る。え!これが届くの!?死亡。

リトライ。
接近すると薙ぎ払い。離れると垂直叩きつけ。薙ぎ払いはわりかし簡単に避けられるが、叩きつけの攻撃が非常に厄介。リーチは相当長いし、何より独特の間があって回避のタイミングが図りづらい。毎回ワンテンポ遅れて攻撃が飛んでくる。死亡。

リトライ。
雄叫びを上げたと思ったら、スーパーラッシュコンボ。余裕で死ぬ。死亡。

リトライ。
薙ぎ払いを避けたあと、ソウルの結晶槍を飛ばしていく。これが一番安全かな。飛びかかってくる。死亡。

リトライ。
亡者状態にも関わらず、召喚サインを発見。興味本位で召喚してみると、何と現れたのは狼シフ。主人の仇とばかりに勇ましく迎っていく。攻撃ショボすぎるけど。
だがスーパーラッシュコンボを受けても耐えられるほど耐久力があり、囮としては申し分ない。その間に攻撃攻撃っと・・・え、ちょっと急に方向転換してこっちこないでよ。や、やめて。今詠唱中だから。あーほら死んだ。シフしっかりしろよ。死亡。

リトライ。
どうしても叩きつけのタイミングが掴めない。死亡。

リトライ。
叩きつけを避けるため懐に飛び込む。アッパーが飛んでくるが、盾でガード。返す刀で薙ぎ払いが来るが受け切れずダメージ。更に三発目コンボでフィニッシュ。死亡。

リトライ。
薙ぎ払いを避ける。詠唱。また反対側から薙ぎ払い。死亡。

リトライ。
接近するとコンボ。離れると叩きつけ。攻撃チャンスはそこそこあるが、敵の攻撃をかわしきれない。
シフのサインを探す。見つからない。マヌスが飛び込んでくる。死亡。

リトライ。
結晶槍でゴリ押す。全発当てても4割程度。厳しいなこりゃ。
マヌスが魔法を唱える。詠唱時間の間が殆どない。あっという間に闇の玉に囲まれる。それが一斉に主人公へ解き放たれる。死亡。

リトライ。
また闇魔法。避けるの無理。死亡。

リトライ。
どうやら4割ほど体力を削ると闇魔法を使ってくるようで。しかも頻度がハンパじゃない。上空からの拡散は何とか避けられるが、ショットガンのように前方から拡散させるやつと外周からの集弾はどう頑張っても無理。死亡。

リトライ。
マグレで闇魔法を避けられても、何回も唱えてくるのでどうしようもない。死亡。

リトライ。
いやちょっと待てって。闇魔法どう対処しろってんだよ。隙もほぼないし、反応しても範囲的に避けられる余地がない。しかも致死量のダメージと凄まじい攻撃頻度。ふざけてんの?死亡。

リトライ。
シフを召喚する。何とか魔法を引きつけてくれ。
外周からの集弾。いやだからマジでこれは無理ですって。死亡。

リトライ。
ちなみに闇魔法は盾でも受け切れません。死亡。

リトライ。
先ほどシフから譲り受けた結界の大盾を使えば闇魔法を防げる気がするなぁ。だけど俺は魔法キャラなので、大盾を装備出来るだけの筋力がない。諦める。
相変わらずの闇魔法連打。死亡。

リトライ。
どうも間合いを取っていると闇魔法を唱えられる確率が高い気がする。なので常に引っ付いていよう。
スーパーラッシュコンボの餌食になる。死亡。

リトライ。
スーパーラッシュコンボは奇跡の超反応でかわしていく。終わったあとまた引っ付く。これの繰り返しでいけるんじゃないか?
普通に闇魔法の拡散が飛んでくる。死亡。

リトライ。
集弾闇魔法も超シビアだけど外側に必死にローリングすれば何とかかわせる時がある。でもそれは本当に偶にです。死亡。

リトライ。
無理。詰んだ。闇魔法がきたらほぼ諦めの境地。おかしいっすよ本当に。明らかに敵の動きがキャラのスペック超えてるっつーの。デビルメイクライやベヨネッタに出て丁度いい感じのボスだぞあれ。
闇魔法。死亡。

リトライ。
闇魔法。ピー(自主規制)闇魔法。ピー(自主規制)
闇魔法が飛んでくる度に俺の口からも公共の電波に流せない放送禁止用語が飛ぶようになる。死亡。

リトライ。
ハイハイ。闇魔法闇魔法。死亡。

ごめんなさい。もう限界です。僕はこれからwikiを開きます。止めないで下さい。初見は攻略情報を見ないのがゲームをやる時の信条であるが、プライドは時に捨てねばならないのです。
えーとなになに、銀のペンダントで闇魔法を防げるだって?何それ、つうかどこにあるの。え?ウーラシール市街の光で照らすと現れる場所、ってそんなの分かるかよボケ!フロムのバカ!
あーはいはいこれね。こんなへんぴな場所まず気付かないね。そんな場所に重要なアイテムが収められているとかふざけてるね。流石フロムだね。じゃあ再戦といこうか。

リトライ。
ハッ!ハッハッー!!ハーハッハッ!!!ヤバい。銀のペンダントスゴい。銀のペンダントはアイテム扱いで何度でも使用でき、二秒ほどだが闇に対する無敵のバリアーが張られる。闇を防ぐ度に俺の高笑いが収まらない。
銀のペンダントと間違えてエスト瓶を使ってしまう。死亡。

リトライ。
さらば、マヌス。4時間の死闘の末、ついに倒す。
マヌスが消え去ったあとに、ウーラシールの宵闇が倒れている。深い眠りについているが、特に傷付けられた様子はない。
マヌスのソウルを手に入れる。尋常ではないが、とても優しい人間性で作られたソウル。彼がかつて人間であったことを示す最後の証。割れたペンダントに込められていた強い愛慕の念は、ウーラシールの宵闇に向けられたものだったのかもな。

一応の危機は救ったので、ウーラシールの守護者、キノコレディのエリザベスに報告する。マヌスを倒して宵闇を救ったことに感謝される。

「貴方についての記憶は私だけが留めておきます。貴方は先の未来から来た人。その方が都合が良いでしょう。でも、誰も貴方の行いについて歌わなくても、貴方が英雄であることは変わりありません。それを知り、留め続ける事が私の仕事です」

いやまぁじゃんじゃん宣伝してくれて良いんですけどね。別にパラドックスなんか気にしないし。
さて、ウーラシールからもお別れか。マヌスは倒したけど、深淵の闇はそのまま残る。遅かれ早かれ滅びる運命にある幻の都。




俺は今、ロードランの森にある湖にいる。そこに存在したウーラシールへ繋がる時空の渦はなくなっていた。代わりに湖のところに宵闇の召喚サインが復活している。彼女は主人公より過去を生きる人物なので、時空の歪んだロードランで、召喚を介してのみ存在することが出来る。

「今まで夢を見ていました。深淵の化け物に攫われて、その時、私は気を失くしていて...でも、ひとつだけ、覚えている感情があるんです。強く、懐かしむ感情...戻らない幸福と、その思い出の品...それを求める思い...あれは、もしかしたら、深淵の化け物のものでしょうか」

あの時、時空の渦からマヌスの手が現れてウーラシールへ主人公を引きずり込んだのは、主人公が標的だったからではなく、持っていた割れたペンダントに反応して現れたんだろうか。ペンダントに込められていた強い郷愁、愛慕の念。自我を失ったからこそ、寄る辺としてそれが必要だったのかもしれない。

「深淵の化け物から救ってくれたのはアルトリウスだってエリザベスから聞いてましたけど、覚えてる気配はあなたに似ているような気がします。でも、そんなわけないですよね。あれはもう何百年も前の話ですもの」

ウーラシールは滅びても、彼女は救われた。それだけで充分なのかもしれない。