死にまくる日記




ボスへ行く前に、周辺を探索しておく。まだ下に続く道が未開拓であり、降りて行くと河川に出る。ワンコが興奮しながら飛び出してくるが、魔法で退けていく。

河川に沿って進んでいると更に下へと続く梯子を発見。梯子に足をかける直前、ドラゴンの咆哮が響き渡りビックリする。明らか下にいますやん。
降りた先では真っ平らな野原が広がっていた。アイテムの光が見えたので取ろうとすると、誤って近くの地面に記されていたメッセージを表示してしまう。
「空高く飛ぶ竜に、地を這う者が敵うわけがない」
え?これどういうこと?と考えてると、上空から前回出会ったブラックドラゴンが。滑空したままブレスを吐き、そのブレスには深淵の力が含まれているようで地面が闇に飲み込まれていく。その波はもうすぐこちらに到達しようとしている。果たして盾で受け切れるのか。
無理でした。桁違いの攻撃でした。常に飛んでいるので全く反撃の余地がないし、そもそも地面全体が闇ブレスの粒子に飲み込まれてしまうので避けようがない。これはどう考えても無理。諦める。

リトライ。
ショートカットへ続く道の途中で黒いコートに身を包んだ商人を発見。山高帽子の影に隠れているが、口が裂けそうなくらいの笑みを浮かべた不気味な仮面をかぶっている。
大した商品は売っていなかったが、世間話には中々有益な情報が含まれていた。ウーラシールが闇に飲み込まれかけているのは、元はと言えばウーラシールの人々がカアスという黒い蛇に惑わされ、力を欲して古の人・マヌスを蘇らせた事が契機になったらしい。彼から言わせれば自業自得だと。

「アルトリウスには会ったか?」

もうすぐ会う予定です。

「そうか、会ってないのならそれで良い」

遺跡の入り口を遮っている靄を抜ける。遺跡の中は闘技場のようになっており、戦闘にはうってつけの環境。その中央に頭部が大変な事になっている人型の生物がいる。
と思ったのも一瞬で、次の瞬間にはその人型生物の身体に巨大な大剣が突き立てられた。大剣の持ち主の名はアルトリウス。グゥイン王に仕える四騎士の一人。そして狼シフの主人。
どこからともなく発生した黒く禍々しいエネルギーが彼に取り巻こうとしている。最早、抵抗する素振りさえ見せない。アルトリウスは闇に取り込まれてしまった。

戦闘開始。直後、ジャンプ攻撃。空中三回転の華麗なアクションに思わず目を奪われ、回避が遅れる。死亡。

リトライ。
華麗な身の翻しでこちらの魔法攻撃がことごとく避けられる。突進のスピードに反応出来ず直撃。死亡。

リトライ。
あまりにも攻撃がかわされるので、敵の溜めモーション中に思わず攻撃してしまう。しかし予想に反して突撃してこない。普通の攻撃。あれ?と思っていると、二発はガードで防げたはずの攻撃が、一発で弾かれるようになっている。完全に隙が生まれてしまったところでトドメの円月斬り。死亡。

リトライ。
またアルトリウスは力を溜めている。あれはどうやら攻撃力アップの効果があるらしい。今度は距離を取っておく。盾だとまた弾かれるから、ローリングであの連続攻撃を全てかわさ・・・死亡。
何だよおい!あの大ジャンプ攻撃は!溜めモーションからの攻撃は何種類も派生するのかよ!

リトライ。
突撃からの連続攻撃に耐えられず。死亡。

リトライ。
ジャンプ攻撃。死亡。

リトライ。
円月斬り後に必ずバックステップするので攻撃のチャンス。それは分かったが、どうしても溜めモーションからの攻撃が耐え切れない。死亡。

リトライ。
もう色々と無理。死亡。

リトライ。
あまりにも強いので人間に戻り仲間を召喚するか真剣に迷う。普段は亡者となっているキャラクターだが、人間性と呼ばれる黒い精を使うことで人間に戻ることが出来る。亡者とは人間性を失い心を無くした者のことをそう呼ぶ。
悩んだが仲間に助けてもらってクリアーしても何のカタルシスもなさそうなので、やはりここは一人で頑張るべきだよな。うん、頑張ろう。
三連回転攻撃をモロに食らう。死亡。

リトライ。
攻撃は当たるようになってきたが、どうやっても削り切る前にごり押しで殺られる。明らかに火力が足りない。
あーどうっすかなぁと自分の手持ちを改めて確認していると、ソウルの結晶槍が未だに未習得である事を思い出す。ソウルの結晶槍とは最上級の魔法攻撃。4発しか放てないが、これを使わない手はない。手持ちのソウルを全て吸収し、限界まで理力を上げるとギリギリ結晶槍が習得できる規定値に。
再挑戦。早速ソウルの結晶槍を使ってみると・・・つ、つえぇ!!、ソウルの槍の1.5倍くらいはあるんじゃないか!?これはいける!勝てる!勝てるんだ!
溜めからの連続攻撃で殺られる。死亡。

リトライ。
結晶槍が信じられないほど強い。戦闘力が53万になった気分だ。
結晶槍と槍でごり押す。深淵のアルトリウスを倒す。アルトリウスのソウルを手に入れる。

『深淵を狩ったというアルトリウスの伝説は、しかし道半ばで終わっていた。あるいは堕ちた彼を討ち、誇りを救った者が、実際の伝説の主、深淵を狩る者となるのだろうか』
というこれからの俺の行動を予言するような事がアルトリウスのソウルの説明文に記されている。深淵とはマヌスの事を言ってるんだろうな。

次に進む前に篝火へ戻る。黒コートの男にアルトリウスを倒したことを告げると、素晴らしい!と褒められる。こいつはどういう立場の人物なんだろうな。

アルトリウスが倒れたコロシアムに戻ると様子が変わっていた。一人の女性が膝をついてお参りしている。その前には即席の墓が作られ、献花が置かれていた。

「私はその男の親友だった。だから、その魂をしっかりと弔いたい。彼のソウルを渡してはくれまいか?」

ボスのソウルは強力な武器を作るのに必要なことが多い。それでなくともソウルとして吸収すれば50000はくだらないだろう。何よりボスのソウルは一つしか手に入らない。彼女に渡すメリットは薄い。
だがアルトリウスを追って数百年前のウーラシールにまでやって来た女騎士のひたむきさに感動したので、それに報いて彼女にソウルを任せることにした。代わりに暗銀の残滅と黄金の残光という曲刀を譲り受ける。

「ありがとう。彼を救ってくれて」

この行いもまた、人間性と呼べるだろうか。今日はここまで。