雰囲気もアクションも最高にイカしてる良作アクションゲー






PS3とXbox360のアクションゲーム。開発はグラスホッパーマニファクチュア。

ゲームの中身は普通の良くある一本道型アクションなんだが、これは面白い。普段一周遊んだら止めてしまう俺が二周もしてしまった。
まず雰囲気が良い。このゲームのディレクターの一人は須田剛一という人で、この人の作るゲームはパンクなノリのものが多く、あまり他では見られないテイストであるため須田ゲーと呼ばれている。今回題材となるのはゾンビという有り触れたものだが、須田氏お得意のパンクなノリが加わることで、これが良い感じにオールドタイプなお馬鹿ホラーの雰囲気を醸し出している。
笑ってしまうほど凄い勢いで噴き出す血、やたらノリノリなゾンビ、何も考えなくても理解出来る分かりやすく無きに等しいストーリー、コミカルでポップな演出、微妙にチープな映像、手垢のついたお決まりのオチ。
その他にもメニュー画面の作りや音楽のチョイスや台詞回しなど、とにかく細部に至るまでB級ホラーな雰囲気を出すことに向かって突き詰められており、凄まじくニッチで狭い分野に対してここまで徹底して作り込む姿勢は素晴らしいとしか言いようがない。須田ゲーは初めてプレイしたが、須田氏にファンが多い理由が分かった気がする。
極めつけは狙ってるとしか言いようがない登場人物達。主人公はおバカ可愛いいかと思えばチェーンソーを振り回すゾンビハンターだし、その子の彼氏は首から下が存在しない首だけ人間だし、ハザードの元凶は同級生の陰鬱な苛められっ子だし、そして主人公の師匠は何故か寿司職人と、もう完全にそっち方面のキャラ揃い。チアリーダーの衣装を着ながらチェーンソー振り回してゾンビを血祭りに上げる金髪ガールの絵が最高にイカしてる。
敵となるゾンビもただの普通のゾンビではなく、ヒステリックな教師ゾンビやクルクル回るチアリーダーゾンビ、バッターゾンビ、フットボーラーゾンビ、バンドゾンビなど、皆ゾンビになったのに何故か人間だった頃よりイケイケでノリノリで楽しそうで愉快。
全体的にファンキーなノリで笑える感じに仕上がっている。

雰囲気ゲーは大体雰囲気だけで終わりゲーム部分はイマイチなものが多いが、このゲームはアクションもとても面白い。基本的には大量のゾンビを斬りまくる無双的なサクサクアクションで、チアアタックの弱攻撃とチェーンソーの強攻撃を組み合わせてアクションをする。
こういうサクサクアクションゲーでありがちなのは、他の技の必要性を感じさせないほど使い勝手の良い技が一つあって、ただひたすらそれを連打するというパターンだが、このゲームは弱攻撃と強攻撃の間合いと威力の調整が絶妙なのでそれが全くない。
弱攻撃ばかりしていると全然ダメージが入らないし、かと言って強攻撃ばかり狙っていると間合いが大きいから反撃にあいまくるので、状況に応じて技を使い分ける必要がある。弱攻撃でピヨらせればチェーンソーの攻撃一発で倒せるようになるというシステムもそれに役立っている。
基本的にはガチャプレイで何とかなるが、技の特徴付けがちゃんとされているので、考えてアクションする余地がある。このバランスは絶妙過ぎる。何よりメニュー画面で技の威力とスピードがそれぞれ確認出来るのが良いね。技は豊富でも差異が乏しく結局一部の技しか使わなくなるアクションゲームは多いが、このゲームは違いが明確に示され、実際実戦でも違いが実感出来るので、色々な技を使いたくなる。
また回避のアクションが素晴らしく、ゾンビを馬跳びして回避するのが見た目に軽やかで、しかも回避から派生するアクションが豊富なので、回避をしても動きが途切れず綺麗にアクションが繋がる。
これだけアクションのきめ細かさがありながら、基本は大量のゾンビをザクザクと倒していく無双アクションなので爽快感があるし、血しぶきとコインが画面一杯に吹き荒れる派手さは見ていて気持ち良い。首だけの彼氏を使ったユニークな技もあるし、無敵モードを使って一心不乱に斬りまくることも出来る。
目新しさやシステムの面白味こそないものの、本当にバランスが良く練られている。

が、詰めが甘い。ゾンビを三体以上同時に倒した時や強いゾンビを倒すといちいち演出が入ってアクションを止められるのが鬱陶しい。その間はカメラも動かせないし、再開後混乱するのでやめてほしい。道中でロードが細かく挟まるしゲームのテンポは悪いね。
カメラワークも酷い。壁際が酷いのはいつものこととして、キャラの向きに合わせて勝手にカメラが動くことがあるのだが、こちらが手動で動かしている時にまでそれが発生するのがウザい。
一番気になるのがコンボの入力タイミングがシビア過ぎること。ゆっくり押すと繋がらないし、かと言って早く押すと今度はボタン押しすぎで失敗する。下手くそだからと言われればその通りなんだが、いつまで経っても入力タイミングに慣れず、中々思った通りにコンボが出せなくてイライラした。
あと、ボス戦があんまり面白くない。アクション的に。面が進むごとに弱くなるのも盛り上がりに欠ける。ボスのノリは良いんだけどね。

一周は6時間程度で終わるが、無駄に間延びしてないから辟易することはないし、短いからこそ繰り返し遊びやすい。ボイスや演出の変更が可能でそれを替えるだけでまた違った感覚で遊べる。
雰囲気が良くアクションも素晴らしいので、一周サクッと遊んでスカッと後腐れなく楽しかったと感じられる良作アクションゲー。新鮮味はないが充分な満足感が得られる。オススメ。

*今回からゲームの出来云々関係なしに、単純に俺が気に入ったゲームにはタイトルの横に☆を付けます。それ以上に俺が気に入ったゲームには☆☆。最高に気に入ったものには☆☆☆を付けることにします。統一するため過去記事にも順次対応させていきます。
元々点数自体が個人的な感覚を重視して付けられていますが、それをより明確にさせるという感じです。