俺は駄目だった






PS3のアドベンチャーゲーム。開発はクリスピーズ。

率直に言うと俺はこのゲーム開始1時間で飽きた。もうやらなくても良いかなという気持ちになった。で、実際途中で投げた。しかしそれはこのゲームの出来が悪いからではない。これは明らかに人を選ぶゲームであるということをまず言っておく。

このゲームは構造が結構特殊で、サバイバルモードとストーリーモードの二種類あるんだが、ストーリーモードは一話ごとにサバイバルモードでアーカイブを一定数集めて解除していく必要があり、動物やアクセサリーなどをアンロックするのに必要となるのも全てサバイバルモード。要するにこのゲームはサバイバルモードが中心になっている。
で、このサバイバルモードは何をするのかと言うと、ただひたすら長く生き延びるだけ。このゲームには明確なゴールがない。ただ長く生き延びる、という漠然とした終わりの見えない目標があるだけ。何回も死にながら学び、とにかくどれだけ長く生き延びれるか、スコアを伸ばせるかというゲーム。パズルゲーの感覚に近いね。
それだけだとつまらないから、サバイバルモードの途中でチャレンジが発生してそれをクリアーすることで動物やアクセサリーがゲット出来たり、アーカイブを集めてストーリーを解除していく、という仕組みが用意されている。
何度もリトライし直しながら各要素をアンロックしつつ、記録を伸ばしていくというのがこのゲームの基本的な遊び方だろう。この仕組み自体は結構良く考えられているなと感じる。

だが問題なのは、動物のアンロックもアーカイブ集めもモチベーションを保たせるには全く機能していないということ。
最初こそはライオン使いてぇーとか、カンガル強えぇーとか、ネコの暗視力スゲーとか、意外と豊富な動物の特徴を楽しんでいたが、50種類用意されている動物は草食と肉食の二タイプで攻略法が大きく別れるぐらいで、結局どの動物もやることは同じだと気付いた瞬間、どうでも良くなった。収集という目的もあるが、俺は基本的にゲームクリアーに関係ないことをやらないタイプなので、やっぱりどうでも良かった。
アーカイブ集めはもっと酷い。集めていくごとに入手条件が厳しくなるとか、緻密に隠されていてちゃんと探さないと見つからないとか、そういったことは一切なく、一話終わるごとに3つ適当に配分されるだけ。しかもそれの配置場所がマップに表示されてるから簡単に入手出来てしまう。これの一体どこに面白さを見出せと言うのか。作業するだけで集まるのではただ面倒なだけで何も面白味がない。こんな風にするくらいならわざわざストーリー解除の為に集めさせる必要なんかないだろと思う。
アーカイブ自体は世界観の背景を語っていてそれなりに面白い。しかしそれを集めさせてストーリー解禁というのがあまりにもナンセンス。
アーカイブが色々な場所に散りばめられたり条件で獲得出来るようにされていれば、アーカイブ集めがモチベーションになってまだ続けていたかも知れない。世界観の背景は結構気になるからね。アーカイブ集めがあまりにも作業で何の面白味もないのがとにかく酷い。
そもそもストーリーモードの内容も何かどうでも良かった。やってることつまんないうえにストーリーも微妙だったし。わざわざ作業してまでやるものでもない。

今までゲームの中身というよりは仕様について語ってきたが、要するにこのゲームはモチベーションを保たせようとして仕組んだ要素がことごとく滑ってる。繰り返しプレイが苦手な人には極めて厳しいゲームだと言える。
逆にスコアをひたすら伸ばすのが好きだという人は間違いなくハマると思う。ここからゲーム本編の話になるが、ゲーム自体は中々良く出来ているからだ。

ゲームの舞台となるのは人間が忽然と消え去り廃墟と化した東京。そこで人間達がかつて飼っていたペットや動物園から逃げ出した動物、更には野生の生き物達がそこら中に溢れ出し、血みどろのサバイバルを繰り広げるという設定。
この設定はやっぱり面白い。俺もこの設定が気になったからこそ購入したんだし。ライオンが渋谷駅前を闊歩し、その同じ道をポメラニアンが彷徨いているという絵はとてもユニークでありながら、人間が突如として消えてしまったことによる混沌をまざまざと現している。
ゲームとしては最初に言ったようにただひたすら生き延びるだけ。それ以外は一切何も求められない。
裏を返せば、生き延びるために何をすべきか、何が最善なのか、全て自分で考えなければならない。そこが面白い。一切の誘導がなく、全て自分で考え、自分で調達する必要がある。まさにサバイバルだなという感じ。
マップも意外なほど作り込まれており、敵に追いかけられても単純に足が早ければ逃げられるということがないように行き止まりが多かったり、逆にその動物でしか行けない場所があったりして逃げ切れたりと、結構考えられてるなぁと思う。
個人的に面白かったのが草食動物の遊び方。基本的に肉食動物に見つかったら太刀打ち出来ないからステルスプレイが重要になるんだが、カメラが固定で先に何がいるのか全く分からないから、常にソロソロと歩いてしまうこの感覚が堪らない。ライオンの横をゆっくりと通る時の緊張感は並のステルスゲームでは味わえないものがある。圧倒的な力の差があるからこその緊張感であって、これこそが動物界のヒエラルキーだよなぁ。

このようにゲームの設定やシステムは面白い。オンラインに対応しており、スコアをネット上で競うことも出来るし、動物の種類も豊富なので、この手のゲームが好きな人は長い間遊べると思う。
だが、何度も繰り返すゲームが苦手な人は間違いなくすぐ飽きる。そういう人の為の配慮が上で言ったようにことごとく失敗しているからだ。やりようによっては絶対俺のようなプレイヤーも楽しめるように出来ると思うんだがなぁ。ゲーム自体は面白いだけに。次回作に期待。