最近心が荒んでいたからか、ちょっとグッときた





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PS3のポエムゲーム。開発はthatgamecompany。DL専売で800円。

やる事と言えば、プレイヤーは一枚の花びらとなって広い草原を飛び回り花を咲かせる、ただそれだけ。ルールなどもあってないようなもので、ゲームと呼ぶにはあまりに曖昧過ぎる。しかし、それ故にこのゲームは圧倒的に詩的で美しい。
机の上に置かれた枯れかけた一輪の花。朧げな光を照らす電灯。崩れた鉄塔。そして最後に目にするもの。言葉では何も語らないが、その全てにドラマの片鱗を感じ取れる。設定の説明など何もないのに、プレイしていく内に自然と伝わってくる感覚がとても心地良い。

画面にはゲーム的な情報は一切表示されず、文字すら殆ど存在しない。純然たる世界がそこには広がっており、プレイヤーは何も気にすることなくその世界観に浸ることが出来る。
コントローラーの六軸を使ったモーションセンサーによる操作も、確かな花の浮遊感を演出していてプレイヤーとの一体感を生み出しており、よりこの世界に没頭させてくれる。

6ステージ+αで、一ステージは15分もあれば終わる。このボリュームで800円はいささか高い気がしてならないが、このゲームでしか味わえない体験が出来ると考えれば決してコストパフォーマンスは悪くない。
終盤はスピード感が得られるコースが含まれていてゲーム的にも面白く、スコアアタックやタイムアタックといったものがあれば長く遊べるのだろうが、そうした世界観を壊しかねないものをあえて用意しない姿勢も潔い。
ゲーム性など何もなく、ある意味究極の雰囲気ゲーだが、その方面に特化したからこそ、とても美しい物に仕上がっている。
癒されたい人は是非。