割とマジで気になるゲームの話題がない




・風ノ旅ビト

PS3の風景鑑賞ゲーム?風の旅人が3月15日に発売決定。DL専用で1200円。
flowやfloweryと言った、音楽と映像だけで独特の世界観を作ってきたthatgamecampanyの新作。
二作とも名前を聞いたことがあるだけでやったことがないためどんなゲームなのか良く分からないけど、今回の風の旅人は広大な砂漠を旅するゲームらしい。
雰囲気が良いし、協力プレイがあるらしいので気になる。


・読書の話

『セピア色の凄惨』小林泰三

“「親友を探して欲しい」
探偵は、古ぼけた四枚の写真を手掛かりに、一人の女性の行方を追い始める。写真に一緒に写っている人々を訪ねていくが、彼らの人生は、あまりにも捩じくれた奇妙なものだった。求める女性は一体どこにいるのか・・・?”

四つの短編を組み合わせた連作集。
「待つ女」は、大学祭で出会った女に一目惚れし、翌日に公園で待ち合わせをしたは良いが一向に女が現れず、ようやく出会えたと思ったら彼女は違う女だったのだがそれに気付かずにそのまま結婚し、何十年か経ってその事実に気付いた夫が家族をかなぐり捨てて例の公園に行くと・・・と言う話。
面白いけど、展開が予測出来るし最後が唐突だしで、この短編集の中では一番微妙だった。

「ものぐさ」は、病的な怠惰故に家族を破滅させていく女の話。
夫が危篤の状況にあろうとも、子供が瀕死の状況にあろうとも、自分が少し動けば解決するのに「面倒くさいから」という理由で動こうとしない女の怠惰っぷりに笑ってしまう。それでも夫のことや子供のことを心から愛しているというところが面白い。

「安心」は、極度の心配性から、おぞましい実験を繰り返す女の話。
これは胸糞悪い話ですね。動物好きな人が読んだら確実に気分を害すると思う。描写も痛々しい。でも、面白いんだよなぁ。

「英雄」は、命よりもだんじり祭りが優先される町で起きた悲劇の話。
だんじりに対してそれほど特別な想いを持っていなかった男が、祭りの事故によってダルマになった師匠を見て、自分も師匠のようになりたいと大工坊に名乗り上げる意味不明な行動原理が興味深い。
結局、伝統への思いと男の浪漫が代々受け継がれて染み込んだ、自分のDNAには反せないのだなーと。

どれも読んでて胸糞悪いし、イライラするし、吐き気がする。でも、人の価値観なんて人それぞれで、それは決して自分で計れるものではない。これは倫理とか道理とかそういう次元で通じるものではなく、その人にとってはそれが当たり前なのだから仕方ないと受け入れるしかない。
4つともグロテスクで陰湿で面白かったけど、探偵と依頼人のやり取りの部分はオチが見え透いていて微妙だったかな。


・映画の話

『ザ・マジックアワー』

“とあるヤクザの下っ端として働いている備後は、ボスの愛人と寝ていたことがバレて捕らえられてしまう。伝説の殺し屋デラ富樫を連れて来ることを条件に解放されるのだが、果たして五日後にデラ富樫として現れたのは売れない役者の平田だった。”

デラ富樫を連れて来ないと命がない状況で、売れない役者をデラ富樫として演じさせるという、如何にも三谷幸喜が考えそうなコメディで、どう転んでも面白くなる設定なのだが、事実とても面白かった。
事情を何も知らずにデラ富樫に成り切ろうとする平田と、本気でデラ富樫として接するヤクザの、微妙に噛み合わない感じがとてもスリリングでハラハラするし、笑える。
その平田役に、演技が大げさで何となく嘘くさい佐藤浩市というのがとてもハマっている。この人なら騙されてもおかしくないなと妙な説得力がある。

有頂天ホテルは、ありきたりな設定でまとめ方も雑だったが、これは流石三谷幸喜という感じだった。


『マイマイ新子と千年の魔法』

“マイマイがあれば、昔の風景が見えるんやで!”

昔は綺麗だったねー、と言いたいだけの映画。それ以上でもそれ以下でもない。
昔の綺麗な風景とか、子供の頃の郷愁に浸りたいならオススメ。


『スカイクロラ』

“年を取らない子供達が、ショーとして戦争を演じさせられる世界でのお話”
と言う設定が何故か劇中で殆ど語られず、一体何の為に戦っているのかさっぱり分からなかったのだが、
あえて語らないことで、何の為に戦うのかも分からず戦うことそのものが目的となってしまった思考停止な兵士の様を描写しているのかなーと思いきや、終盤にチョロっと設定喋らせてるし、結局何がしたいのか良く分からんかった。
しきりに子供達が〜と言いながら、子供の顔付きが大人とあまり変わらず、子供としてイマイチ認識出来ないのは駄目だと思う。
全体的に厨二病乙な映画だった。


『八日目の蝉』

“まだ赤ん坊だった恵理菜は、土砂降りのある日、父親の不倫相手であった希和子に誘拐されてしまう。そしてそのまま薫として四歳まで育てられた。
希和子が逮捕されて恵理菜は家族の元へと戻ったが、家族の仲はギクシャクし、大学生になると逃げるように一人暮らしを始めた。そこで妻子持ちの岸田と付き合う中で、希和子と同様の運命を辿りつつあることに気付き、恐怖を覚え始める。”

四年間の空白でポッカリ空いた家族の隙間。本当の家族の元に戻っても、今まで希和子に育てられてきた恵理菜からしてみれば見知らぬおじさんおばさん同然であり、ストレートに愛情を受け取りにくい。
それが頭では分かっていても、希和子の影がチラつく恵理菜に、そして上手く愛情表現が出来ない自分に対してイライラし、ヒステリックになってしまう母親と、問題の元凶故に父親らしいことが出来ずにいる存在感の薄い父親、そして恵理菜を含めた秋山家のギクシャクした関係が痛々しくて生々しい。愛情を求めているのに受け取れない、愛情を与えたいのに受け入れられない、と言う複雑な状況に陥ってしまっている。母親の「恵理菜ちゃんに好かれたいだけなのに」という言葉が切実に胸をエグってくる。

と、あまり本編とは関係ないところの方が個人的には気になったのだが、それは置いとくとして、とりあえずこの映画は良かった。普通に傑作だと思う。
希和子のやったことはあまり同意出来ないのでイマイチそこで感情移入が阻まれるのだが、母親になりたかったという気持ちは良く分かるし、薫への愛情は痛い程伝わってくる。捕まる直前に叫んだ最後の言葉の中に、薫に対する母親としての愛情が全て凝縮されていた。
いつまでも薫との生活は続かないと分かりながらも気丈に振る舞い、それでいて儚げな笑顔を見せる希和子を、永作博美が見事に演じきっている。
恵理菜の自分を求める旅と、希和子と薫の四年間の生活をクロスさせた展開はドラマチックで、とても見応えがある。希和子と薫の哀愁漂う関係と、美しい日本田園風景のコントラストも見事。途中までは誰も救われないとてもハードな内容だが、最後の最後で全員に対して希望が見える終わり方も良い。

俺が家族をテーマとしたものに弱いということもあるけど、これは本当に良かった。今まで邦画を勝手に毛嫌いしてたけど、やっぱり食わず嫌いは駄目だなぁ。


・ヤクルトの話

上田の調子がすこぶるよろしいようで。ミレッジも問題なさそうだし、去年の青木くらいの穴なら普通に埋まりそうだな。