フロムは徹底してるなぁ




ロボットアクションゲーム。開発はフロムソフトウェア。現在PS3とXbox360にて体験版配信中で、オンラインもこの土日の間だけ解禁されている。
オンラインを始める場合、まずチームに加入しなければならない(自分でチームを作って一人でオンラインも可) ことが意味している通り、今作はチームプレイに重きを置いている。

今回はマップが広く建物も多く並べられていていくらでも死角が存在するのだが、レーダーなどの類は一切存在しない。
ではどうやって敵を探すのかと言うと、リコンと呼ばれる探索装置をばら撒きスキャンモードに入ると、リコンの索敵範囲に入った敵の姿が建物や障害物を通して見えるようになる。同時に敵の弱点や装備している武器の情報も分かる。
今作はこれを使った索敵と情報戦が戦闘の基本となり、これらの情報をチームで共有することが重要になってくる。しかし問題は情報を伝える手段。
対象をタグ付けしてここに敵がいますよーと合図したり、テンプレートから選ぶテキストチャットなどはあるが、戦闘中にそのような無駄な動きをしていたらまず殺られるので、選択肢はボイスチャットに限られてくる。
俺は友達と四人で組んでボイスチャットをやってみたが、確かにこれは面白い。
ボイチャが出来るゲームは多いが、ボイチャで情報を伝え合う事が勝利へと密接に繋がるゲームというのはあまりなく、ただ愚痴を言い合うだけになるのがオチであまり必要のないものだった。
しかしこのゲームは、自分が伝えた情報がチームに役立っているという確かな実感がある。そして仲間から受けた情報が確実に自分の為になっている。得た情報をチームで共有し合うことが勝利に繋がりチームプレイを感じさせてくれる。この感覚が堪らなく楽しい。
その最たるものがオペレーションモードで、このモードでは機体を操作せず情報を解析してそれを伝えることに徹するのだが、これがまた面白い。
敵の位置を索敵し、見つけた敵を忙しなくタグ付けし、情報を解析して弱点などを見破ってそれを味方に伝え、更には味方の機体の動きを別画面から眺めて状況を判断、
と気分はまさにオペレーター。今回は如何にして相手の情報を知るかが重要となるので、オペレーターの存在は極めて価値がある。
このように、チームで情報を共有し合うことが重要でそれにはボイスチャットが必須という、かなり敷居の高い状況になっている。
ボイスチャットはなくても出来るし、一人でもオンラインは遊べるが、それではこのゲームの醍醐味を味わえないのも確か。野良でボイスチャットなしを少しやってみたけど、ボイチャの体験をしたあとだと物足りなく感じた。

ゲームってのは、ディレクターが「こういうゲームを作りたい」「プレイヤーにこうやって遊んで貰いたい」というある程度のビジョンを持ってそれを基に作られていくと思うのだが、
そのビジョンだけを追求して作ってしまうと独りよがりな物になってしまい、多くのユーザーには受け入れ難くなってしまう。
かと言って、ユーザーに合わせ過ぎると今度は本当にやりたかったことが出来なくなってしまう。
スタッフの拘りを貫くか、ユーザー目線に立つかという選択は難しい。大抵のゲームの場合、取捨選択をして拘りとユーザービリティのバランスを取っていくものなのだが、フロムは違う。ユーザーを篩にかけても、徹底的に拘りを追求している。このアーマードコア5はその究極版だ。拘りを貫いた分取っ付きは悪いが、非常に濃い体験が出来る。

とは言え、サーバーの不安定さは流石に酷いとしか言いようがない。傭兵を雇うとまずエラーが発生してブリーフィングから先に進めない。
決戦ミッションを開始するのに5000のチームポイントが必要なのだが、ブリーフィング失敗するたびにチームポイントが削られ、10万あった手持ちが一瞬でなくなるという、何とも呆れる現象が起きている。率直に言ってこれは酷い。ダークソウルの失敗から何も学んでいない。

サーバーの不安定さに一抹の不安を感じるが、ゲームとしての試みは非常に面白い。ボイスチャットに抵抗がない人や一緒にやる友達がいる人にはとてもオススメ。公式を見る限りではオフラインも充実しているようなので、既存のアーマードコアファンも楽しめると思う。
俺も多分買ってしまうんだろうな。