テレパシー日記。ネタバレ注意。






チャプター6が終わり、チャプター7へ。

壁にスパイ映画で良く見受けられる赤いレーザー光線が張り巡らされている。
罠のつもりだろうが、そのわりには本数が少ないし、普通に目で視認出来るので、罠としての有用性に関してはいささか疑問である。
アイザックはここで何をするわけでもなく、その側でずっと佇んでいる。何故かって?
おんぎゅるわーん、とモーフが悲鳴をあげた。答えはこの通り。今、彼らに身体を張って罠を解除してもらってたんだ。報酬は頭に鉛を一発。これで充分だった。


「アイザック、まだあなたは受け入れられないの?私は死んだのよ。」

しつこいにも程があるぞ、ニコールの亡霊さん。

「違う!お前はニコールじゃない!俺が石村に行った時、ニコールの死体は見つからなかったんだ!ニコールはまだ生きてるんだ!」

「それは私を思って言ってるのかしら。それとも罪の意識から逃れるため?」

「何が言いたい?」

「アイザック、あなたが私を殺した。」

「ニコールは死んでない!ニコールは死んでない!ニコールは死んでない!」

アイザックの叫びが通路に反響する。亡霊は既に消えた後だった。


太陽光のトレイはこのステーションを出た所にある。つまり宇宙空間上に存在する。衛星みたいなもんですね。
発射ポッドに乗り、宇宙空間へと飛び出す。
お得意のハッキングでコントロールパネルを掌握し、反射鏡を動かす。太陽光を一点に調整する。
太陽光を一身に浴びているが、皮膚ガンにならないのだろうか。認知症、背後霊、脱毛、皮膚ガンと、彼の将来は前途多難である。

「ok、アイザック。電力が復旧したわよ。電車の方に戻ってちょうだい。」

エリーから連絡が入る。奥からはシュトロースの泣き喚く声が。

「やめろ!針はもう嫌だ!やめてくれ、解放してくれ!」

大の男が予防接種を怖がるとは情けない。

「シュトロースどうしたんだ一体!?エリー、彼は大丈夫なのか?」

「えぇ、さっきからずっとあの状態。ちょっと待って、何かがこっちに・・・ シュトロース逃げるのよ!早く!」

けたたましい咆哮と、慌ただしく走り去る音が無線の奥から聞こえる。

「おい、エリー!おい!クソ...」

完全にフラグがたったな。まぁ、いずれまた会えるだろう。次に会う時も手足が繋がってることを祈るばかり。とりあえず電車に向かうか。

この位置から駅ホームまで遠いので、宇宙空間を挟んで向こう側にあるステーションへ一気に渡ることに。
渡るとは簡単に言うが、一体どうやって?距離は相当なものだぞ。おい、アイザック、何か案があるのか?
ここで突然、俺とアイザックの間に推し量れない力が働き、彼とテレパシーの交信に成功した。

やぁ、やたさん君!やだな、ミスタークラークだなんて。アイザックと呼んでくれよ、ふふふ。
そういえば先日の息子の件はどうも。君がストアに頑なに戻らないせいで、僕の身体のパーツは何回も、取っては嵌められ取っては嵌められしたんだよ。もう少し僕の身体を尊重してくれないかな、うん。
あ、劇中では《俺》なんて一人称使ってるけど、あれカッコ付けてるだけだから。だって、女の子達にひ弱なイメージを与えたくないだろ?とても魅力的な女性が多いからね、このゲームは。
特に僕はディアナが好みだったかなー。途中で裏切られたけど、スタッフがその気になればあそこで終わらせて、僕とディアナはめでたく結ばれましたってことにもなったと思うんだよね。全く、いけずなスタッフだよねー。そりゃこんなゲームを作っちゃうくらいだから当然か。
ごめんごめん、話が逸れたね。どうやって向こう側のステーションに行くかだったよね。
ほら、あそこに素敵な椅子が見えるでしょ。うん、ジェットコースターの座席に似てるね。あの座席に座ると、ジェットコースターのように加速して、その勢いで宇宙空間に投げ出されるんだ。
そうなったら僕の独壇場。あとはスーパーマンのようにカッコ良く滑空し、華麗に漂流物をかわしながら、向こう側のステーションに着地するのさ。どうだい、惚れ惚れするだろ?
何?不確定要素が多すぎるだって?
ふふふ、やたさん君。僕はこのゲームの主人公だよ。不確定要素は全て主人公補正で解決さ。じゃあ、もう僕は行くね。今後ともよろしく!

アイザックとの交信が切れる。随分ゲーム内と印象が違ったな。
アイザックに言われた通りにすると、言われた通りに事が運び、言われた通りに主人公補正が発動し、向こう側のステーション内に入り込むことに成功する。吹き抜けのフロアに出る。

「アイザック、列車はこっちよ!」

スロープ越しにエリーが手招きしている。何だ、生きてたのか。でも、仲間はいる方が心強い。
安心したのも束の間、あちこちの通風口からモーフが現れる。よし、今回は弾は充分にあるし、ヘルスパックも充実。これだけ手持ちがあれば何とかなるだろう。

「エリー!どうやら閉じ込められてしまったようだ。こっちのドアを開けられるか?」

「えぇ!?さっきのフロアに戻れって言うの?あそこから命からがら逃げ出してきたのよ!」

「良いから行け!頼む、行ってくれ!」

「もう、分かったわよ!ドアを開けるまで持ち堪えてね!」

アイテムが豊富だから余裕だと思いきや、遠距離型、突撃型、通常型と、様々な種類のモーフが入り混じっているため、対応に苦労する。
遠距離型の敵に気を取られていると、接近型に不意打ちを喰らい、接近型に注視していると遠距離型の良い的にされる。こいつら、どんだけコンビネーションが良いんだよ。
しかも、どれだけ敵を倒しても湧いてくる。どうやら、エリーがドアを開けてくれるまで粘る必要があるようだ。
あぁ、もう!遠距離型の胆汁ビームが特に嫌らしい。でも、あいつ堅いしなー。
もしかしてと思い、胆汁ビームを構えるモーフに向き直って、こちらもテレキネシスの構えをする。
モーフが胆汁ビームを射出。アイザックに触れる瞬間にテレキネシスを発動。すると、かざした手のひらの前で胆汁ビームの動きが止まった。
ははーん、これもテレキネシスで利用出来ちゃうわけか。
今度はこちらのターン。ビームを持ち主にお返しする。胆汁に触れたモーフは一瞬で蒸発した。
胆汁精製するくせに、胆汁耐性はないのかよ。

「アイザック!ドアを解除したわ!早くそこから抜け出て!」

その報告を待っていたぜ、エリー。
近くにあった青ランプを投げ、モーフの動きを止める。そして、解除されたドアをくぐり抜け窮地を脱出。

「エリー、シュトロース、無事か?」

「畜生・・・畜生.・・・」

「おい、エリーどうしたんだ?大丈夫か?」

「大丈夫じゃないわよ!私は今朝までここに居たの。同僚達30人と一緒にね・・・ 彼らは瀕死だった。私は知っていた、人間がモーフに変異してることに。だから・・・だから、私は、まだ生きてる彼らの手足を切り落としたの。一人残らずね。私が生き残る為に・・・」

「エリー、それは仕方のないことだ。君に非はない。」

「何よ!慰めのつもり?その中にはね、私の夫もいたのよ!自分の手で家族を殺める気持ちが、どれだけ辛いことかあなたに分かるの!?」

そう言い捨てて、エリーは通信を切った。

「分かるさ・・・」

アイザックは暫く佇んだあと、先を急いだ。

今日はここまで。

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