スターオーシャンシリーズやヴァルキリープロファイルシリーズを世に放った、デベロッパ「トライエース」が手懸ける今作品。
トライエースの作品は今まで触れたことないが、スターオーシャン4の悪い噂や体験版の分かりにくさからプレイする前は不安だった。







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・取っ付きにくいシステム

このゲーム、最大の魅力であり最大の弱点でもあるオリジナリティ溢れるゲームデザイン。
戦闘システム、フィールドデザイン、カスタマイズ、物語の雰囲気、どれを取っても既存のゲームでは見慣れないものばかりだ。
この斬新なシステムの数々は保守的なRPGに食傷していたユーザーにとっては堪らないが、これを理解するまでが問題である。
システムが解禁されるたびに逐一解説は入るが説明は文章のみ。
少しでも使い古された部分があればなんとなく分かるが、このゲームのシステムは目新し過ぎて要領が掴みにくい。ユーザーにシステムを体感させながら解説して欲しかった。
しかし、システムを理解していくと世界が変わる。
フィリーングでプレイしてた時の倦怠感は吹き飛び、今ではエンドオブエタニティがいかに面白いゲームなのか全国布教の旅に出たいほど。
人を惹き付ける魅力は充分あるのに、アプローチに失敗しているのは勿体ない限りだ。


・アクションと戦略性を融合した戦闘システム

アクション性と戦略性は本来相反するものだ。
キングダムハーツのようなアクション性を重視した戦闘システムにすれば、リアルタイムの操作が要求されるため戦略性は希薄になる。
ドラクエやFFのような戦略性を求められる戦闘システムには言うまでもないがアクション性はない。
エンドオブエタニティの戦闘システムはアクション性と戦略性がそれぞれ重要な要素を持っている。
詳しいルールの解説はwikiを参照にしてもらいたい。

他のRPGのように魔法やスキルといったものはなく、多彩な技を使う楽しみはないが、それを補う戦略性と目新しさがある。
ライン取り、レゾナンスの配置、ジャンプや追撃の使い分け。これほど脳細胞が刺激される戦闘システムは中々ないだろう。
この戦略高いシステムにアクションという不確定要素が加えられていることで、さらに奥が深いものになっている。
ただ、アクション面の操作は煩雑で、ターゲット切り替えは目まぐるしく視点が変わるため狙いを付けにくい。追撃のタイミングもシビアでもうちょっと緩ければ良かった。

癖のある味付けの食べ物は美味しいが何度も食べると食傷気味になるもので、エンドオブエタニティも同じく、戦闘システムの癖が強いためバトルが続くとダレてくる傾向がある。
スタッフはこれを理解してか「リーダーアサルト」という画期的なシステムを確立した。
これは戦闘で敵のリーダーさえ倒せば、その時点で戦闘終了になるという仕組みだ。
今まで有りそうでなかったシステムで(俺が知らないだけかも)素晴らしいテンポを生み出し、辟易とした気分も吹き飛ばしてくれる。


画期的なフィールドマップ

みんなはRPGのフィールドといえば、どのような想像するだろうか。
ドラクエのようなスクロールマップ、FF13のような一本道、fallou3のような広大なフィールド。
様々なフィールドデザインがあるがどれも共通しているのは、キャラクターが3D空間、2D空間のマップを移動していることだ。
しかしエンドオブエタニティのマップデザインはこれらのRPGに慣れ親しんだユーザーに大きなサプライズを与える。
ワールドマップは六角形のマスで区切られており、ヘキサというアイテムをパズルのピースのようにはめて行動出来る範囲を広げていく。
パズルを作っているような楽しみがあり、マップの至る所に宝が隠されているため、ついつい全てのマスを埋めたくなる。ヘキサはモンスターが落とすため戦闘のモチベーションも上がる。実に良いバランスだ。
マップにセーブや回復が出来る拠点を設置したり、色が付いたヘキサをステーションに繋げばフィールド上に様々な効果が発動されるなど、自分好みにマップをカスタマイズ出来るのも面白い。
何よりこのマップの素晴らしいところは、全ての町や施設が小さな空間の中に収められていることだ。
ブティックに行ってブラブラしたり、闘技場で鍛えたり、ダンジョンを探索したりといったことが移動が楽なため、まるで大きな街の中を歩いているような感覚で行える。
FF1~9の飛空艇の感触に似ているかも知れない。広大なマップ上を探索するのは楽しいが、時に長時間移動するのが億劫になることがある。
飛空艇を手に入れてから、あちこち探索するのが楽しくなるように、エンドオブエタニティの世界ではまさにプレイヤーは常に飛空艇に乗っているような感覚でマップ上を移動出来るため、プレイヤーの冒険心を高ぶらせてくれる。
初めはマップを覚えるのに苦労するが網羅してしまえば、バーゼルはもう自分の世界。
思う存分エンドオブエタニティの生活を謳歌出来る。


風変わりなストーリー

エンドオブエタニティのストーリーは章分けされており章の初めと最後にイベントが流れる形を取っている。
俺は現在9章をプレイしている所だが、本筋のストーリーは伏線が張られ過ぎで分かりにくい。
聞き慣れない単語も多く、その単語の説明もほとんどないため説明書を熟読してからプレイすることをオススメする。
登場するメインキャラクターは3人とも痛い。だがその痛さが魅力的だ。
厨二的な痛さというより、家族間や友達間で調子に乗った発言や行動をしてアイタタとなる感覚に近い。
そんな痛いキャラクターが織り成す掛け合いは絶品で不覚にも笑ってしまった。
生活感溢れるイベントが多く描かれており、アットホームな感じが醸し出され見ていて心地が良い。


バトルシステムが斬新なRPGは数あれど、ここまで多岐に渡って意欲的な作品は他にないだろう。
斬新なシステムの数々を上手く昇華してこの作品を作り上げたトライエースのスタッフには拍手を送りたい。
今、プレイしていて挫折しそうな人も諦めないで頑張って欲しい。
乗り越えさえすれば最高のエンターテイメントが待っている。